【豪州雇用統計】失業率は表面上改善も、実態は予想を大きく下回り悪化

雇用者変化は予想が-8.0万人に対して-14.63万人と予想よりも非常に大きいマイナスとなった。

その内-6.8万人が正規雇用のマイナスとなった。

失業率は予想の5.0%に対して4.5%と表面上は大きく改善したようにみえるが、この後見る通り、今回の失業率の改善は労働市場の改善を反映したものではなく、数字だけをみて強かったと思わないように注意が必要である。

Data Source : Australia Bureau of Statistics

オーストラリア・失業率の詳細

上述の通り、予想を大きく下回って低下した失業率だが、低下要因は雇用の拡大ではなく、参加率の大幅な低下が原因であり、望ましいものではない。

Data Source : Australia Bureau of Statistics

細かいことは考えなくとも、就業者比率(就業者/労働力人口)が大きく下がっていることからもわかる。

仮に労働参加率が前回の66.029%と変わらなかったとして、今回の就業者比率から失業率を計算した場合もみてみる。

就業者比率 = 労働参加率 ×(1-失業率)

就業者/労働力人口 =(労働参加者/労働力人口)×(就業者/労働参加者参加者)

失業率 = 1- 就業者比率/労働参加率

となることから、
1-62.242/66.029 = 0.05735 = 5.735% となる。

以上のことから、労働参加率を前回値のまま変わらなかったと仮定した場合には、失業率は大きく悪化していたということになることがわかる。

又、今回の失業率の大幅な改善は雇用の拡大によるものではなく、COVID19の感染者拡大、それに伴う経済活動の制限を理由とした労働参加率の大幅な低下によるものであり、失業率の低下は労働市場の改善を表すものではない。

これらのことから、雇用者数変化にしても労働参加率を考慮したうえでの失業率の動きをみてもオーストラリアの労働市場がCOVID19の悪影響にさらされ、一時的にであれ悪化していることを意味するだろう。

それにしても最近は、中国当局のITセクターや不動産セクターへの規制強化といったチャイナ・リスクの高まりや自国の弱い経済指標など、AUDにとってはマイナス要因が目立っているように思われる、、、