【米国GDP】2022年Q4 米国国内総生産の詳細確認
- 2023.01.29
- 経済・マーケット
2022年の米国GDPは第一四半期、第二四半期の2期連続のマイナス成長を記録し、テクニカルリセッションとなっていたが、第三四半期は予想通りプラス成長となった。
第四四半期もQ3に続いてプラス成長となったが、数字自体でもそうだが、項目別にみても米国経済の失速を示すような内容となっている。
細かい内容をいつものように確認しておきたいと思う。
米国実質GDP項目別詳細確認
項目別にみれば、民間消費の伸びが前期比年率、前年比ともに減速傾向を示した。
また、金利上昇を背景に住宅投資は急激に減少しており、民間投資は前年比でマイナス成長となっている。
純輸出は今回も大きくプラスとなっており、GDP全体を押し上げる重要な要素なっている。
しかし、今回は輸出も輸入も前期比マイナスとなっているため、経済活動の活発化による純輸出の拡大というわけではなさろうである。
低調な民間投資に加え、マイナス成長とはなっていないものの、急激な物価上昇のなかで民間消費の成長率も鈍化傾向となっており、項目別にみてGDPの内容が非常に良いとは言えないだろう。
Data Source : U.S. Bureau of Economic Analysis
米国GDP項目別寄与度
項目別で確認した通り、GDPの改善寄与に大きく貢献した項目は今回も純輸出と政府支出である。
民間投資は前期比年率ではプラス成長に転換したがプラス寄与の幅は非常に小さい。また、民間投資の内容としても在庫の積み増しによるプラス寄与が大きく、投資意欲の改善がみられるわけではない。
民間消費の成長は鈍化傾向にあり、経済活動自体は減速傾向にあることを示唆していると解釈できよう。
ヘッドラインの成長率が示すほど米国経済は強くないと思っておいてよいのではないだろう。
実質GDP
・実質GDP前期比年率
Data Source : U.S. Bureau of Economic Analysis
・実質GDP前年比
Data Source : U.S. Bureau of Economic Analysis
※寄与度は各項目の数値(BEAのGDPレポート Table 3のデータにあたる)をFREDから取得して計算している。
BEAのGDPレポート Table 2のものとは一致しない。この点に関するBEAのNoteは以下の通り。
Note. Users are cautioned that particularly for components that exhibit rapid change in prices relative to other prices in the economy, the chained-dollar estimates should not be used to measure the component’s relative importance or its contribution to the growth rate of more aggregate series. For accurate estimates of the contributions to percent changes in real gross domestic product, use table 2.
名目GDP
・名目GDP前期比年率
Data Source : U.S. Bureau of Economic Analysis
・名目GDP前年比
Data Source : U.S. Bureau of Economic Analysis
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