【米国雇用統計】2023年2月 米国労働市場の詳細確認
- 2023.03.11
- 経済・マーケット
2023年2月に発表された1月分の雇用統計を皮切りにして、CPIやPCEデフレータといった物価指標、小売売上高などの重要指標が軒並み強い数字を示してきた。
そして、パウエル議長からも3月の50bpsの利上げ可能性を示唆するような発言があり、今回の雇用統計は50bps利上げを確定付けるのではにかと期待されていた。
しかし、結果としては雇用者数が市場予想の31.1万人(予想:20.5万人)と予想を超えたものの、失業率は3.6%(予想:3.4%)、平均受給は前月比0.2%(予想:0.3%)と失業率及び賃金は予想を下回った。
賃金上昇が予想を上回らなかったことから、50bpsの利上げに確信を持つには物足りない結果だったように思われる。
通常時であればまちまちの結果と評したいところであるが、50bpsを確定付けることが期待されていただけに、その期待に応えられなかったという点で”弱かった”と言ってよいのではないだろうか。
いつものように詳細を確認していく。
Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics
失業率と就業者比率
失業率のヘッドラインとしては予想よりも失業率は悪化していたものの、労働参加率も加味してみれば、状況は変わってくる。
E/P Ratioは生産年齢人口全体では80.2%から80.5%へ改善がみられており、失業率の上昇は労働市場への復帰者の増加によるものと考えることができる。
このことから、次回FOMCでの50bpsの利上げを確信させるには足りないが、労働市場自体は引き続き牢乎であるとは言えよう。
Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics
失業理由の詳細
失業理由に占める被解雇者の割合や任意の離職者と労働市場への復帰者の割合には特異な変化は見当たらない。
Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics
失業理由の分類は下記を参照。
- 被解雇者(Job Losers) : 会社都合の一時解雇、解雇
- 退職(Job Leavers) : 自己都合の退職者
- 契約期間満了(Completed Temporary Job) : 一時的な/臨時の仕事を終えた場合
- 労働市場への復帰者(Reentrants) : 再度職探しを始めた人(not-in-labor-forceからの復帰)
週給・時給とその他関連データ
前回大きな持ち直しがみられた平均週刊同労時間は、今月は若干の減少がみられた。
来月も更に減少するようであれば再度不安視することにはなりそうだが、12月の水準よりは改善しているため今回の減少だけをもって労働需要の減少と考える必要はないだろう。
一方で時給・週給の伸びに関しては、雇用者数や小売売上高、物価関連指標などが軒並み強かったことを考えると物足りない数字に思われる。
そうは言っても、あくまでも2月に発表された異様に強い経済指標との比較においての話であり、FOMCの引き締め傾向の変えるものではない。(50bps利上げの確信には足りないというだけ)
Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics
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