【米国雇用統計】米国労働市場の詳細確認(2025年6月)

前哨戦のADPが予想を下回りマイナスの結果となったことから、不安があったが、蓋を開けてみれば、NFPは予想を上回る強い結果となった。

詳細を確認してみても、E/P Ratioの低下傾向はどはみられるものの、全体的に言えば良好な結果となっている。

雇用者変化にしても、景気後退を不安視する見方が指摘され続けてきたが、10万人台前半での推移が数ヵ月継続しており、安定しているようにも見える。
(公的部門の雇用に支えられているような気もするが)

失業率と就業者比率

前述の通り、失業率は4.1%へと低下し、プライムエージのE/P Ratioも改善が見られるなど、雇用者変化と合わせて良好な結果に見える。
労働力人口全体のE/P Ratioは低下傾向が見られるが、高齢化等の影響を考えれば、避けられないものであろう。
(目先の話ではないが、米国だけでなく日本や中国も含め、主要国の経済は高齢化の中でどれだけ成長を続けられるかが、大きな問題となってくるだろう)

失業理由の詳細

失業理由からは、引き続き明確な悪化・改善の動きは見られない。
相互関税の影響が出始めるのをレイオフの数字に出てくるか不安視していたが、それも杞憂であったように思われる。

失業理由の分類は下記を参照。

  • 被解雇者(Job Losers) : 会社都合の一時解雇、解雇
  • 退職(Job Leavers) : 自己都合の退職者
  • 契約期間満了(Completed Temporary Job) : 一時的な/臨時の仕事を終えた場合
  • 労働市場への復帰者(Reentrants) : 再度職探しを始めた人(not-in-labor-forceからの復帰)

週給・時給とその他関連データ

時給の前年比増加率は、低下傾向が継続している。
しかし、CPIの前年比上昇率の低下がみられるように、インフレ率も低下してきており、実質賃金としては増加していることから、名目賃金の増加率の減速を不安視するような状況ではないものと思われる。

平均週間労働時間は、軟調な動き推移に見られるが、レンジを下抜けるような動きまでは見られないため、過度に不安視する状況ではない。

想定していたよりは堅調な状況が続いているが、6月くらいから相互関税の影響が見られ始めるのではないかと不安視してきたが、結果としては大きな影響は見られなかった。

これを受け、労働市場の減速が7月の利下げを肯定するような状況ではなく、引き続い9月以降の段階的な利下げが既定路線であると考えられる。