【米国雇用統計】米国労働市場の詳細確認(2025年7月)

今月は先月とは反対に、前哨戦のADPが強い結果であったが、NFPが前回及び前々回分の下方修正も含めてボロボロの結果となった。

失業率は悪化し、E/P Ratioは低下しており、基礎的な数値は軒並み悪化した。
唯一踏みとどまったのは賃金の伸び位である。

雇用者変化は、下方修正によって、10万人くらいでの安定推移から、数万人程度の低位での推移へと大きく見え方が変わった。

この非常に弱い雇用統計は、強いGDP、ADP、PCEデフレータが9月の利下げ織込みを4割弱にまで後退させていた状況をひっくり返し、9月の利下げ織込みは8割ほどにまで上昇している。

失業率と就業者比率

失業率はまだ4.2%と非常に低い水準にあるが、雇用者変化が大きく悪化したこと、相互関税による悪影響の懸念もあることから、今後4.5%を超えるような動きになってくるか注目される。
直近のパウエル議長の発言でも失業率を重要視しているよう発言をしており(二大責務からして当たり前だが)、利下げタイミングを見ていくうえでも重要である。

失業理由の詳細

失業理由としては、労働市場への復帰の割合が低下、自己都合の退職者の割合も低下しており、労働者(潜在的な労働者)も強気な考えを持ちにくくなっていることが伺える。

失業理由の分類は下記を参照。

  • 被解雇者(Job Losers) : 会社都合の一時解雇、解雇
  • 退職(Job Leavers) : 自己都合の退職者
  • 契約期間満了(Completed Temporary Job) : 一時的な/臨時の仕事を終えた場合
  • 労働市場への復帰者(Reentrants) : 再度職探しを始めた人(not-in-labor-forceからの復帰)

週給・時給とその他関連データ

今回の雇用統計で唯一良かったのは時給及び週給の伸びである。
低下傾向にあったところから、少なくとも横ばい推移にはなっており、足元の物価上昇率が2%台で推移してることからして、実質賃金としても悪くない状況にある。
ただし、相互関税が物価に影響を与える可能性もあるため、完全に安心できるわけではない。

平均労働時間については、横ばい推移といったところで特筆するようなことはない。

9月利下げの織込みが再び高まったものの、当初の見通しに戻ってきただけともとれる。
雇用統計発表後に米国債利回りの低下、株価下落、米ドル安と言った動きになっているが、少なくとも円を捨てて外貨を買い戻す良い機会と思われる。

個人的にも、強いGDP結果を受けて一部の外貨を円にしていたこともあり、買いなおしに動きたいと思っている。