有効求人倍率低下と日本の労働市場悪化の兆し

人手不足を嘆くニュースを山ほど目にするが、その裏では有効求人倍率の低下傾向が続いており、人手不足の状況が変わりつつあることが伺える。

特にパートの有効求人倍率の低下ペースが速く、2023年1月の1.36倍から2025年9月には1.14倍まで低下してきている。

労働力人口の減少と物価高によって、経済成長とは無関係な供給面からの人手不足と賃金上昇圧力が生じていることから、雇用を諦める動きに繋がってくるものと考えられる。

この兆候は、失業率が7月の2.3%から8月に2.6%へと上昇したことにも表れている。
より良い条件を求めて転職する人が増えているとの見方もあるが、9月の有効求人者数が前月比▲0.8%であったことからも、正しい見方ではないだろう。

労働市場の悪化と実質賃金減少の加速

経済成長による需要拡大とは関係のない物価上昇が続いている現状において、労働市場が力強さを失えば、物価上昇率はそのままに名目賃金上昇率のみが鈍化し、減少ペースが加速することが考えられる。

それは、当然のことながら日本経済の悪化と少子化を加速させ、ひいては日本円の更なる減価につながることになる。

現在も9ヵ月連続で実質賃金が減少している状況にあるが、ここから減少幅が拡大することが考えられよう。

伸びない実質輸出

円安が続いており、輸出企業にとっては有利な環境下にあるように思われるが、日本の実質輸出にはほとんど増加が見られないのが実態である。

輸出企業が日本経済と雇用の支えになることができておらず、通貨安による物価上昇は、ただただ国内で実質賃金減少させ、経済を停滞させる原因になっている。

当然のことながら、更なる通貨安と経済悪化の負の循環を加速させることが考えられよう。

以上の通り、日本の経済・通貨は非常に良くない状態にあり、資産を守るためには、外貨建資産・海外資産が必要であることは明らかであろう。