【米国CPI・PPI】米国インフレ状況確認2021年9月分
- 2021.10.15
- 経済・マーケット
市場や米国のFOMCメンバーが当初想定したよりも強く、長引く物価上昇は9月も高い水準が続いている。
CPIは総合指数の前年比が予想の5.3%に対して5.4%、コアCPIが予想通りの4.0%と予想を上回る結果となった。
一方でPPIは総合の前年比が予想8.7%に対して8.6%、コアPPIが予想7.1%に対して6.8%となり、予想よりは落ち着いた結果となった。
CPI詳細
季節調整済みのCPIデータの詳細をみていく。
まず、ヘッドラインとコアの前年比と前月比データをみると、ともに前回よりも上昇ペースが加速しており、消費者にとって厄介な物価上昇がまだまだ続くことを示唆している。
CPIが前年比5%を超えた状況がすでに数か月続いているが、冬季もエネルギー価格が高止まりする予測が高まっていることを考えると、この状況が半年以上継続することとなるのはほぼ確実だろう。
主要小目別にみても、上昇ペースが継続的且つ顕著に減速しているのはメディケア関連のみであり、電気や食品、住居といった生活に必須のものは全て上昇ペースが加速しており、すぐに低水準で安定することは考えにくい。
この状況が想定よりも長く続くであろうとの考え方に従えば、物価の安定を目標とFRBは来年以降駆け足で金融政策正常化の道を進まなければなると予想できよう。
Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics
PPI詳細
こちらも季節調整済みデータを確認する。
今回のPPIは前月比の伸びが鈍化したことから、指標発表後には安心感が広がり、株式指数などが上昇する動きがみられたが、このPPIの水準や過去の動きを考えれば、企業の支払うコストが安定してくると考えるのは時期尚早だろう。
前月比データが一時落ち込んだからといって、エネルギー価格の高止まり、このあとの冬季とクリスマスシーズンを考えると、今後のPPIも高い水準が続くと思わざるを得ない。
Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics
すでに物価上昇が賃金の上昇ペースを上回っていることなどを原因として、米国では労働者のストライキが多発するにいたっており、物価の安定と健全な経済活動・成長のためにも中央銀行は動かざるを得ないだろう。
テーパリング廃止後も物価上昇に歯止めがかからないようであれば、上述の通り、FRBが金融政策正常化ペースを速める必要に迫られ、2022年の利上げが1回どころか2回ほど行われることがあってもおかしくないかもしれない。
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