【米国CPI】米国インフレ状況確認2022年5月

米国の物価上昇もそろそろピークアウトではないかとの声も聞こえてきていたが、今回の米国CPIはヘッドライン、コアともに予想を超える伸びとなった。

ヘッドラインのCPI総合は前年比で8.6%(前回:8.3% 予想:8.3%)、コアCPIは前年比6.0%(前回:6.2% 予想:5.9%)の伸びとなり、ヘッドラインは上昇ペースが加速した。

季節調整済みCPI詳細

詳細確認として季節調整済みのCPIデータの詳細をみていく。

ウクライナ・ロシア戦争の継続から食品価格やエネルギー価格の上昇に歯止めがかからないことから、ヘッドラインは前年比での上昇ペースが加速した。

一方でコアCPIは前年比でみれば上昇ペースが鈍化した。2021年半ばくらいからインフレ率が急加速してきたが、そことの比較となってくることからも今後も上昇ペースが更に加速する可能性は低いのではないだろうか。

ただし、前月比での上昇ペースは安定しており(5月のコアCPIは前月比で0.6%上昇と4月と同様のペース)、加速がなかろうともインフレ率の高止まりは続くだろう。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

項目別にみれば、電気料金や食品価格などを中心に生活に欠かせないものの価格上昇がとまっておらず、この物価上昇が金利上昇、株価等のリスクアセット低下による逆資産効果などと相まって、米国の消費を押し下げることにつながりそうである。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

インフレ状況と投資戦略

今回のCPIをみても物価上昇が落ち着く兆しはみられず、一部で話されていた9月あたりのFRBの金利引上げ一休みも期待できないものと思われる。しかし、あと2回ほどの金利引上げがみられ際には、長期債ETF購入には魅力的な金利上昇・経済状況になってくるものと思っている。

短期債ETFについては、秋以降も政策金利の引上げが続くと思われることから、まだまだ買うタイミングは先だろう(来年くらいか?)。

米国株式については、S&P 500が一時3,800付近まで下げるタイミングもあったが、それでもバリュエーションが割安というわけでもないため、まだまだ待ちたいところである。

FRBが本気でインフレに対処するようであれば、急激な金利上昇によって株式指数がさらに低下することは十分に期待できようし、それによってバリュエーションが魅力的になるのを待てばよいだろう。

6/10に発表されたミシガン消費者信頼感指数も50.2(予想:58.8)まで低下、もはやリーマンショック時のときと同水準まできており、消費者心理は劇的な悪化を表していることから、消費の悪化が明確にあらわれれば、これも米国株価を押し下げることになるだろうし、やはりもう少し株が下がることを期待したいところである。