【米・GDP】2022年Q2 2期連続のマイナス成長、テクニカルリセッションへ
- 2022.07.30
- 経済・マーケット
米国の実質GDPは2期連続のマイナス成長となり、テクニカル的には景気後退といえるような状況となった。
FRBのパウエル議長やバイデン大統領は労働市場の強さなどを理由として、景気後退ではないとの考えを示しているはいるものの、米国の成長ペースに陰りがみられることには変わりがないだろう。
細かい内容を今回も確認しておきたいと思う。
米国実質GDP項目別詳細確認
急激な物価上昇や金利上昇を要因としてか、民間投資・住宅投資・非住宅投資が前期比で大きな落ち込みをみせた。
PCE(個人消費支出)についても前回の前期比+1.829%から+1.034%へと鈍化しており、高い物価上昇が家計の消費に悪影響を及ぼしていることがよくわかる。
また、PCEのうちわけでみればサービス支出は堅調なプラスが続いている(今回+4.1%)一方で財の消費が大きく足を引っ張る(今回-4.4%)形となっている。
コロナ後のリベンジ消費的な外に出てのサービス消費が堅調なものの物価上昇から財の消費が強く抑えられているといったところだろう。
・主要項目別前期比年率チャート
Data Source : U.S. Bureau of Economic Analysis
米国GDP項目別寄与度
寄与度をグラフにしてみると今回のGDPが民間投資の大きな減少による部分が大きいことがよくわかる。
民間投資の大きな減少に伴って今回もマイナス成長となったが、サービス消費に関しては堅調な状況が続ていることPCEの成長率はプラスを維持しており、パウエル議長などが言及している通りに労働市場の状態は非常に堅調であることから、賃金上昇などがみられれば、米国の消費は大きく沈みこまないだろうと思う。そのことから、マイナス成長が今後も継続するとは考えにくいのではないだろうか。
ただし、政策金利は年内は引き続きはやいペースで続こうことから、民間投資には下押し圧力がかかりやすい状況が続くと思われ、弱い経済成長となるとは思われる。
実質GDP
・実質GDP前期比年率
Data Source : U.S. Bureau of Economic Analysis
・実質GDP前年比
Data Source : U.S. Bureau of Economic Analysis
名目GDP
・名目GDP前期比年率
Data Source : U.S. Bureau of Economic Analysis
・名目GDP前年比
Data Source : U.S. Bureau of Economic Analysis
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