【米国GDP】2022年Q3 米国国内総生産の詳細確認
- 2022.10.27
- 未分類
2022年の米国GDPは第一四半期、第二四半期の2期連続のマイナス成長を記録し、テクニカルリセッションとなっていたが、第三四半期は予想通りプラス成長となった。
また、実質GDPは前期比年率で予想の2.3%を超えて2.6%とヘッドライン上は強い結果となった。
ただし、GDPデフレーターが予想の5.3%を大きく下回り4.1%であったことから、総生産自体が予想を超えたというよりは物価要因によって実質GDP成長率が支えられたと考えられよう。
細かい内容をいつものように確認しておきたいと思う。
米国実質GDP項目別詳細確認
項目別にみれば、純輸出の急激な改善した一方で住宅投資を中心に民間の投資は低調・悪化がみられた。住宅ローン金利の急騰が住宅購入の妨げとなっていることはその他の住宅関連指標が示してきた通りである。
一方で高い金利が自国通貨米ドルを押し上げてくれたことで、他の主要先進国のように自国通貨安による輸入額増加とは無縁である点は純輸出改善に役立っているものと思われる。
低調な民間投資に加え、マイナス成長とはなっていないものの、急激な物価上昇のなかで民間消費の成長率も鈍化傾向となっており、項目別にみてGDPの内容が非常に良いとは言えないだろう。
Data Source : U.S. Bureau of Economic Analysis
米国GDP項目別寄与度
項目別で確認した通り、今回のGDPの改善として大きかったものは純輸出である。
一方で純輸出と政府支出要因を除いてみれば、民間投資のマイナス成長と低調な民間消費の成長といった前回と変わらない状況がみてとれる。
ヘッドラインの成長率が示すほど米国経済は強くないと思っておいてよいのではないだろうか。
実質GDP
・実質GDP前期比年率
Data Source : U.S. Bureau of Economic Analysis
・実質GDP前年比
Data Source : U.S. Bureau of Economic Analysis
※厳密には実質GDP各構成要素の単なる寄与度合計は変化率に一致しない。
各要素の寄与度をみるには下の名目GDPのチャートもあわせて確認いただきたい。
名目GDP
・名目GDP前期比年率
Data Source : U.S. Bureau of Economic Analysis
・名目GDP前年比
Data Source : U.S. Bureau of Economic Analysis
-
前の記事
労働という行為はいつから、如何にして地位を向上させ、美徳となったのか 2022.10.12
-
次の記事
2022年10月 主要各国のインフレ状況まとめ 2022.10.29