【米国雇用統計】2023年3月 米国労働市場の詳細確認

4月の非農業部門雇用者数は予想を超えて25.3万人と引き続き労働市場の強さを示した。

失業率についても3.4%まで低下し、予想以上の改善を見せた。

その他の失業理由の内容や賃金上昇率についても改善がみられ、ほぼ文句のつけようのない非常に良好な雇用統計内容であり、金融引締めが続く中でも米国の労働市場は依然として加熱状態であることを示した。

失業率と就業者比率

就業者比率(就業者数/生産年齢人口)も全体で横ばい、プライムエージで改善がみられ、失業率は予想を超えて改善するなど、文句なしの強さといえる。

完全雇用の状況でさらに労働市場が逼迫してきているといえ、労働市場からの物価上昇圧力が引き続き問題になるものと思われ、少なくとも労働市場からはインフレ率低下の兆しはみられない。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

失業理由の詳細

失業理由に占める被解雇者の割合の低下、労働市場への復帰者の割合が増加しており、失業理由の内容としても改善がみられた。

任意の離職者の割合は若干ていかしたものの、気にするほどのものではなく、失業内容からみても労働市場は健全な状態である。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

失業理由の分類は下記を参照。

  • 被解雇者(Job Losers) : 会社都合の一時解雇、解雇
  • 退職(Job Leavers) : 自己都合の退職者
  • 契約期間満了(Completed Temporary Job) : 一時的な/臨時の仕事を終えた場合
  • 労働市場への復帰者(Reentrants) : 再度職探しを始めた人(not-in-labor-forceからの復帰)

週給・時給とその他関連データ

賃金上昇ペースは加速、インフレ率の鈍化から実質賃金の変化率にも改善傾向が続いている。

賃金は引き続き物価上昇率を支える要因として作用するものと思われ、政策金利の高止まりを示唆している。(最も実際は銀行システムリスク次第なのかもしれないが)

今回の雇用統計で唯一の気がかりとしては、一時改善がみられていた平均労働時間が再度減少傾向を示している。その他の要因はほぼ完ぺきであるため、これだけをもってどうこう言うことでもないが、引き続き今後もいくらかの注意を傾けておきたい。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics