【日銀MPM】論理愚策の継続決定
日銀は今回の金融政策決定会合でも、市場で予想されていた通り愚策の修正は行われず、賃金と物価の好循環などと言う幻想を追い求める姿勢を堅持した。
いつも通り論理破綻した日銀と日銀総裁の会見内容などをまとめておきたいと思う。
声明文・当面の金融政策運営について
今までと同じように愚策の継続を決めましたとのことが書いてあるだけであるが、今更であるが声明文に違和感を感じる点をみつけた。
「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。引き続き企業等の資金繰りと金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。
この文章において、マネタリーベースについては、「コアCPIの前年比上昇率の“実績値”が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続」とあるんですが、もうすでに実績値では安定的に2%を超えていますよね?
これで政策を変更しないのは、日銀の発言・ステートメントが如何に信用ならないものかの証明に外ならない。
せめても今までも考え方が間違っていたことを認めて、ステートメントの文章を変更することくらいすべきだろうに。日銀は無能なうえに怠惰なのかな?
日銀総裁記者会見
中小企業の賃上げについて
(問)
二点目です。その見極めの時期についてなんですけど、日銀、これまで不確実性というところを理由に、随分長い時間をかけてですね、これまで見極めをされてこられたと思います。この中小企業の賃上げというところでいうと、最終的な統計とかが出るのはかなり後になってしまうのかなっていう、そういう気もするんですけども、これ具体的に中小企業の賃上げに関してはどういったデータを参考にされるのかとか、どういった時期をめどに判断されていくのか教えてください。
(答)
これは文字通り、中小企業を含めた全ての企業の賃金がどうかということを 24 年度分についても確認するのはすごい後になってしまうというポイントだと思いますけれども。従って、そこを全部みたければだいぶ後になってしまうということでございます。ただ、必ずしも賃金そのものをみなくても、いろいろな他の経済の動きから中小企業の賃金がどうなりそうかということを類推できたり、あるいはヒアリング情報等も入手可能であります。例えば、先ほど来申し上げてますが、大企業の賃金動向とか先に動く企業の賃金動向は、間違いなくある程度の影響を中小企業に与えるということだと思いますし、中小企業の利益の動向、利潤の動向については賃金よりも少し早めにデータが入るということもあるかと思います。それから、サービス価格の動向がどうなっているかということも、もちろん賃金がサービス価格にという因果関係もありますが、サービス価格が上がることが賃金を引き上げる余地を生むという意味で賃金に影響するということもあると思いますので、その辺も含めて総合判断していくということになるかと思います。
物価の見通しもまともに立てられない方が、中小企業の賃金を類推して、そこから更に賃金と物価の好循環を推測することなんかができると考えているとは、何と悲惨なことか。
自信のある無能という政策決定者としては最悪の性質を持つ方々が見通しを立て、政策を決定していると思うと、日本経済は悪い方向に進むだろうと思わざるを得ない。
(問)
先ほどもちょっと話あったんですけれども、中小企業の賃上げについてお伺いします。中小企業にとっては、原材料高の高騰、十分に価格転嫁できない中で、賃上げしなくちゃいけない状況は、より厳しい経営環境に追い込まれる懸念があるかと思うんですけれども、現状中小企業にとって賃上げができる経営的な余裕があると総裁お考えでしょうか。そういう中で、日銀の考える好循環とは言えないんじゃないかと思うんですけれども、総裁のご認識、お考えを教えてください。
(答)
そこは中小企業といっても、業態その他企業によって区々であるというふうに思います。法人季報等からみる限り、利益の水準という意味では中小企業も非常に良いものになってますので、全ての中小企業が賃上げの余裕がないということではないと思います。ただ人件費比率が高いのが中小企業の特徴ですので、そういう点も含めて注意深くみていきたいと思います。
この質問はまったく持ってその通りで、日銀の愚策によって加速した悪性の物価上昇が原材料費を押し上げている状況において、賃上げなんかやっていると思っているのか?というのは痛いところをついている。
中小企業の邪魔をして賃上げを阻害しているのは日銀自身なのではないかと。
植田総裁は、業態によりけりで全ての中小企業が賃上げの余裕がないわけではないと言っているが、そんな当たり前のことではなく、俯瞰的に中小企業を見渡した際にどうなんですかと、好循環は起きているんですかということが重要なわけなんだがね…
ETFの購入について
(問)
ETF購入についてお尋ねします。既に日銀によるETFの買入れもほとんどされていないと思いますけれども、このままETFの買入れ枠というのは残しておく必要があるのでしょうか。年明け以降も株式市場は非常に好調な状況です。ETF購入の枠組みの撤廃や売却を考えるタイミングに来ているのかどうか、総裁のお考えをお聞かせください。
(答)
足元、ETFについてはほとんど購入していないわけですけれども、枠組みとしては大規模な緩和の一環として実施しているということがあります。従って、これを考え直すタイミング、すなわち 2%の物価目標の達成が見通せる状況になった時点で、この枠組みを維持することが適切かどうか、買っちゃったものを売るという話ではないですけれども、引き続き買うかどうかという部分について検討するということは、行うことになるかなと思います。その結果、やめるかどうかはその時点の情勢次第ということだと思います。
そもそも物価目標の達成が見通せる状況になった時点でも、この異常なETF購入政策が必要になると思っているというのは、いかれているとしか思えない。
若しくは自分たちがまともな見通しを立てる能力が無いことを自覚してのことなのだろうか?いずれにせよ日銀がまともな金融政策を行う能力がないことは明らかであろう。
金融政策運営について
(問)
2%目標を絶対目標とし続けることが妥当かということについてお尋ねしたいと思います。今、日銀が始めている多角的レビューでもこの問題は検討対象になっていないとお見受けしていますけれども、この 2%目標を絶対視した政策を続けることで、もう 3 年近く 2%以上のインフレが続いているのに、消費者物価の上昇が続いているのに、いまだこのマイナス金利を続けるような、ある意味尋常じゃない金融政策が続いてるわけですね。2%目標、もしもっと柔軟にみるような政策をしていたら、あるいはもっと早く政策の見直しがあり得たかもしれないわけですけれども、今こういう状況に陥っているのは、その 2%目標を絶対視ということが前提になっているからだと思います。その功罪について検討するお考えはないんでしょうか。
(答)
それはレビューで検討することになるかどうかは分かりませんが、政策委員それぞれ常に考えている問題の一つかと思います。ただ、インフレ目標自体はそう頻繁に変えるものではないというのが取りあえずのお答えかなと思います。そのうえで今回、2%目標にこだわらずもう少し早めに利上げをしていればどうだったかということですが、それは、金利はもう少し上がっていたかもしれないですけれども、インフレ率が 2%、厳密に言わないまでもあまり 2%に近いところまで行かずに、短期間は超えてたと思いますけれども、長期的に低いところに収束してしまう、あるいはデフレに戻ってしまうというリスクもその分上がっていったというふうには思います。
これも質問者の方のご指摘の通り、3年近くも目標とする物価上昇率を上回るインフレが続ているというのに、物価目標と認識されない異常事態に陥っているとすれば、目標自体に欠陥がある可能性を疑うのは自然なことである。
そんなにも賃金と物価の上昇が重要だと言うのなら、初めから賃金を目標にする、賃金と物価の好循環を目標にすべきであろう。
総裁の回答にあるような、もしももう少し早く利上げしていたらどうなったであろうというよりも、目標の誤りというより根本的なところに問題があるのではないかと、それを見直すことを検討すべきなのではないかということなのでは?
もっとも、間違った見通しに基づく失策の継続しかできない方々に、そんな崇高な問題に答えを見出すことなどまったく期待できないわけではありますけども…
(問)
先ほどの質問ともちょっと関係するんですけども、株価がとても高い状態です。ドル円も今 150 円前で、これから 10 円ぐらい下がっても別に企業・経済に大きな影響はないと思います。このタイミングで利上げをしないということは、利上げなり大規模金融緩和を修正しないということは、逆に市場から金融緩和の修正ができないじゃないかとみなされる恐れ、日銀が財政ファイナンスをしてるんじゃないかっていうふうにみなされる恐れ、市場の信認を失ったり、混乱が生じてしまうリスクについては、現段階でどのようにお考えか教えてください。
(答)
株価や為替レートの動きについてはもちろん注目していて、それが経済・物価見通し、特に物価見通しに重要な影響を与える限りにおいて、これまで申し上げてきたようなやり方で政策に反映させていきたいと思っております。
(問)
財政ファイナンスという恐れがあるんじゃないかとみなされるリスクについての回答の方をお願いします。そちらがメインなので。
(答)
財政ファイナンスと株価・為替レートとはちょっと、直ちにはつながらないと思いますけれども。
(問)
失礼しました。私の質問をする前提部分であって、政策を変えられないんじゃないかというふうにみなされてしまうリスクを、現段階でどう考えていらっしゃるかっていう点をお願い致します。
(答)
金利を低位に保ったり、国債を買ってるということをやめられないのではないかというご趣旨だと思いますけれども、これも常日頃申し上げている通り、そうした政策は財政ファイナンスのために行っているのではなくて、繰り返しですが、物価目標達成のために行っていますので、それが達成されるという見通しが立てば、修正していくということになります。
財政ファイナンスで二進も三進もいかなくなってるんじゃないの?そう認識されて日銀の信認が失われるリスクがあるんじゃないの?との質問です。
どうも総裁は、真正面から答えたくなさそうで、あーだこーだ言って回答を避けようと努力した後に、いつも通りの無難な回答をしている。
質問者をはじめ、日銀に疑いを持っている方々が思っているのは、物価目標達成のためというのが言い訳でしかなくなっており、本当のところは財政ファイナンスを続けなければいけない状況に陥ってないのか、緩和を続けなければ国の財政がもたない状況になっているといった懸念があるのではないかと疑っているわけである。
日銀総裁が、物価目標を超えるCPIの上昇が続いている環境でこんな言い訳を続けたところで何の説得力もなく、今後も疑いを持つ国民は増え、日銀の信認は失われ続けることだろう。
さて、今回特に気になった項目は以上。
植田総裁率いる日銀に期待できることは皆無であり、日銀の信認失墜とそれが発行する通貨の信用不安は今後も広がり続けるものと考える。
植田総裁が日本円の信用を不可逆的に破壊するであろうことを思えば、日銀の発行する通貨建てで長期投資を考えるなんてことは無理なことだろうな。
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