【米国雇用統計】2024年6月 米国労働市場の詳細確認
- 2024.07.07
- 経済・マーケット
今回もISM PMI・NMIともに弱く、ADP民間雇用者数も若干弱いといった状況からの米・雇用統計発表となったが、非農業部門雇用者数はパートタイムによるものではあるものの市場予想を上回り20.6万人となった。
雇用者数の数字だけは20万台のため非常に確りした数字である。
一方で過去分の下方修正や失業率が予想よりも高かったことなど不安要素もある。
いつものように詳細をまとめておく。
失業率と就業者比率
失業率は4.1%と予想の4.0%を超える値であり、上昇トレンドが継続している。
また、失業率の上昇は過去の景気後退前と同じような動きとなっており、未だに4.1%と低い数値ではあるものの、この傾向の継続には注意する必要がある。
プライムエージの就業者比率(E/P Ratio)は高水準を維持しており、労働参加率まで考えれば、引き続き健全のようにみえるが、労働参加に限界があることを考えれば失業率の上昇はいずれ就業者比率の数値にも表れてくることだろう。
失業理由の詳細
失業理由をみれば、任意の離職の割合は低下しており、転職市場・活動の鈍化が続いていることが示唆される。
ただし、労働市場への復帰者の割合が増えていることは望ましいことである。
いずれによせ大幅な賃金上昇を招くような状態ではなくなってきているだろう。
失業理由の分類は下記を参照。
- 被解雇者(Job Losers) : 会社都合の一時解雇、解雇
- 退職(Job Leavers) : 自己都合の退職者
- 契約期間満了(Completed Temporary Job) : 一時的な/臨時の仕事を終えた場合
- 労働市場への復帰者(Reentrants) : 再度職探しを始めた人(not-in-labor-forceからの復帰)
週給・時給とその他関連データ
賃金の上昇率鈍化傾向は変わらず継続。
離職者の傾向が示唆する積極的な転職活動の減少が示唆するところと整合的である。
賃金上昇に起因するインフレ(wage push inflation)の加速は起こりそうもなく、インフレ鎮静化が期待される。
一方で失業率の上昇が示すように労働市場が弱まることがあれば、再び実質賃金が減少に転じ消費及び経済の鈍化につながるほどまでに状況が悪化しないかには注意したい。
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