インフレ加速と日銀の怠惰

日本の8月のCPIは前年比+3.0%、コアCPIは前年比+2.8%となっている。
物価上昇率が日銀の物価目標+2%を大きく超えている状況にありながら、日銀は9月のMPMで金利据え置きを決定した。

電気料金等の政府補助があるという前提のもので、この高いインフレ率が続いていることを考えれば、金融緩和の調整が足りないことは明らかだろう。

もっとも、現在の政府の財政状況を考えれば、身動きが取れないことは理解できなくはない。
また、物価上昇率を項目別に見れば、サービス価格の上昇ペースの鈍化、食品及びエネルギーを除くCPI(米国版コアコア)の上昇ペース鈍化からして、経済状態の脆弱さが伺えることからも、慎重な動きが必要であるとのことも分からなくもない。

しかし、日銀は、声明文で個人消費の回復や潜在成長率を上回る経済成長率を予想していると言及しており、このことからして金融緩和の追加調整に動かなかった理由は上記のようなものではないようではあるが、それなら何を待っているのかと…

前述の通り、政府の電気料金等補助金がありながら、達成されていることを考えれば、物価目標が達成された状態が3年ほど継続することはほぼ確実であるが、植田総裁は「確度が高まった」などとの発言を続けている始末であり、無能さに陰りはない。

この日銀の無能さに加え、シルバー民主主義により社会保障改革の不能と日本財政の悪化継続を背景とした日本財政への絶望が注目されることで、通貨安と物価高を止めることが難しくなる日も近いだろう。

引き続き円高タイミングは外貨建て資産を積み立てる絶好の機会ととらえて、資産防衛を続けたい。