【日本実質賃金】2ヵ月連続のプラスもマイナス転落は近い

実質賃金は27ヵ月連続のマイナスから脱却し、足元では2ヵ月連続のプラスとなった。

しかし、プラス幅は縮小傾向にあり、今後電気・ガスの政府補助がなくなることを考えれば、近いうちにマイナス圏に落ち込む可能性が高いだろう。

また、「きまって支給する給与」に関しては依然としてマイナス圏で推移しており、実質賃金上昇の基調という意味では”まだまだ弱い”との認識をもたざるを得ない。

日銀の金融緩和策の調整と米国の利下げ織り込みの進展によって為替が円高方向に進んでいること(輸入物価抑制要因)、慢性的な人手不足(名目賃金上昇要因)といった実質賃金を支える要因はあるものの、本当の意味で望ましい経済成長に伴う実質賃金上昇圧力ではない。

また、米景気悪化による日米金利差の縮小・円高と国際的な物価上昇率の鈍化によって物価高が抑制されたとしても、それは日本の景気後退をも引き起こし、実質賃金は名目賃金の減少につながるリスクもある。

結局のところ、日本は良い意味での賃金上昇と経済成長は望み難い状態に置かれている。

実質消費も久しぶりに前年比プラス圏に戻ってきたが、こちらも過ぎにマイナス圏に沈み込むことだろう。
実質消費に関しては高齢化に伴う際限なき社会保険料の増加によって現役世代が搾取され続けていることを考えれば、上昇が期待できはずがない。

引き続き、日本経済は非常に脆弱な状態にあるとの認識を変える必要はないように思う。

また、次の景気後退局面でも他国中銀と比して政策余地がひどく限られている日本の回復ペースは遅いだろうことから、一時的に金利差縮小などで円高局面があるのなら海外資産を積む絶好の機会ととらえ、怯むことなく投資を続けるべきだろう。