【米国雇用統計】米国労働市場の詳細確認(2025年4月)

ADPが弱かったため不安視していたが、結果を見てれば25年4月の雇用統計は3月に続いて予想を上回る堅調な結果となった。

非農業部門雇用者数は予想の13.0万人を回り17.7万人、失業率は市場予想通りの4.2%となり、引き続き労働市場の強さを思わせる結果である。

これから見ていくが、その他の指標も含めて思ったよりも良い結果に見える。

失業率と就業者比率

前述の通り、失業率は4.2%となり、前月と変わらない水準であった。
一方で、就業者比率(E/P Ratio)は労働力人口全体、プライムエージともに改善が見られた。

先月のプライムエージのE/Pを見た際には、悪化傾向に入ったかと思ったが、予想以上に強い。
しかし、相互関税の悪影響が出てくるだろうとは思われるため、引き続き注視したい。

失業理由の詳細

失業理由からは、引き続き明確な悪化・改善の動きは見られない。
3月分まで若干の低下傾向が見られていた被解雇者の割合が増加に転じたが、明確な流れの変化は見られず。

相互関税の影響が出始めるのをレイオフの数字を見ながら確認していく状況に変わりはない。

失業理由の分類は下記を参照。

  • 被解雇者(Job Losers) : 会社都合の一時解雇、解雇
  • 退職(Job Leavers) : 自己都合の退職者
  • 契約期間満了(Completed Temporary Job) : 一時的な/臨時の仕事を終えた場合
  • 労働市場への復帰者(Reentrants) : 再度職探しを始めた人(not-in-labor-forceからの復帰)

週給・時給とその他関連データ

時給の前年比増加率は、低下傾向が継続している一方で、週給は持ち直しとなった。
こちらも思っていたよりも堅調な推移である。

平均週間労働時間は、民間全体の低水準は前回から変化なく、引き続き低水準での推移が継続。

想定していたよりは堅調な状況が続いているが、先月書いた『相互関税が労働市場への悪影響を与えるまでには若干のタイムラグが考えられることから、利下げペースの加速を正当化するような雇用統計の数字が出始めるのは6月以降の発表分になろうと思われる』
といった見方は変わらず、引き続き終始した。

一方で不法移民排除のみが進み、貿易戦争に歩み寄りがみられるようであれば、少なくとも労働市場に限って言えば、想定以上に堅調な状態が続くかもしれない(これも今後の状態を当面見ていかないと分からないが)

運用に関しては、久しぶりの大幅調整となった外国株式の購入タイミングは一先ず終わってしまっており、トランプ大統領がもたらす次の混乱待ちといったところだろう。

通貨に関しては、米ドル安の流れとなっているが、日本国の円のほうが絶望的状態にあるとの考えは変わらないため、米ドル購入を止める必要はないものと思われる。