実質賃金の減少と日本経済の衰退の加速
- 2025.12.11
- 家計・資産運用
2025年10月の実質賃金はいつものように減少が継続し、我々日本の一般消費者の貧困化の進展を再確認する結果となった。
もはや毎月のことなので、当たり前になってきているが、着実に日本の一般消費者・労働者は貧しくなっている。
実質賃金を押し下げているのは当然高いインフレ率だが、特に食料品の上昇率は前年比で+6.4%ほどとなっており、2024年のエンゲル係数(家計消費支出に占める食費の割合)が28%ほどとのことだが、2025年のそれは30%程まで上昇してくるのではないだろうか。
もちろんCPIの総合指数も日銀の物価目標である2%を超えて引き続き推移しているが、無能な日銀は物価目標の達成を認めることを拒み、緩和政策を続けているため、今後も物価上昇と日本国民の貧困化は継続することは間違いなかろう。
実質賃金の減少、食料品価格等の高騰を受けて、消費や経済の停滞を招くことは当たり前のことである。直近の実質GDPでは、それに加えて住宅投資の低迷を背景として大幅な悪化となっている。
PCEもプラス圏ではあるものの引き続き停滞が見られ、高インフレ低成長(マイナス成長)といったスタグフレーションの状態を示している。
以前も指摘した通り、経済状況の悪化は労働市場にもみられており、有効求人倍率の低下が止まらない。
物価上昇が供給要因・通貨安要因から起きていることを考えれば、経済状況の悪化は物価上昇率を低下させることはないが、労働市場の悪化を通して名目賃金の上昇率の重石になると考えられる。
その為、労働市場の悪化は実質賃金の減少傾向の傾向、さらには減少幅の拡大につながるだろう。
以上の通り、日本の経済状況は、実質賃金、実質GDP、有効求人倍率のいずれをみても悪化傾向となっている。
この経済弱体化だけが原因ではないが、急激な債券利回り・金利の上昇が起こっている(物価上昇率の高止まりと利上げ期待を受けて)が、日本円はそれでも減価し続けており、日本の経済及び通貨は信用を失っている。
通貨安は実質賃金・実質GDPいずれにもマイナス要因として働くと考えられることから、日本経済はさらに悪化、日本円及び日本の財政への信用が益々毀損されると予想されることから、引き続き日本円の保有は最低限にしておくべきだと思えてならない。
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