MSCI 株式指数の代表的な種類一覧とその内容

ETFなどを使ってパッシブ運用をする際に、どのような指数があり、その構成がどうなっているのかを知ることは必須である。

しかし、指数は世の中に腐るほどあるが、その中から株式分散投資をするうえで最も重要であろう、MSCIの各指数についてまとめてみる。

各指数の構成や国の分類は現時点で最新と思われるものをまとめているが、構成内容は変化するため注意。

国の分類については、毎年(おそらく6月に)評価の結果が発表され、国の分類も変更される可能性がある。

World Markets

MSCIの指数構成は大きく、先進国、新興国、フロンティア市場の3つの市場に分けれれている。

MSCI ACWI Index

3つの大区分のうちから先進国と新興国とをカバーした指数。
23の先進国と27の新興国が対象となっている。

大型・中型株が対象であり、世界の投資可能な株式のおおよそ85%をカバーしている。

何も考えずに、新興国を含む世界各国の株式に投資をしたい場合には、この指数に連動するETFを買えば一通り投資ができる。

ただし、フロンティア市場に分類されているベトナムやナイジェリアなどの国は対象外となっている。

先進国:
カナダ、米国、オーストリア、ベルぎー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、イスラエル、日本、シンガポール、香港、豪州、NZ

新興国:
中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、パキスタン、フィリピン、
台湾、タイ、メキシコ、アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、ペルー、チェコ、ギリシャ、ハンガリー、ポーランド、ロシア、トルコ、クウェイト、カタール、サウジアラビア、UAE、南アフリカ

代表的なETF ticker: ACWI、2559、1554(ACWI ex Japan)

MSCI World Index

上述した大枠の中から先進国23ヵ国から構成される指数が、MSCI World Indexである。
対象は、大型及び中型の企業が対象であり、それぞれの国の浮動株時価のおおよそ85%をカバーしている。

対象国は以下の通り。

北米: 米国、カナダ

欧州:
オーストリア、ベルぎー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国

中東: イスラエル

アジア・太平洋地域: 日本、シンガポール、香港、豪州、NZ

2021/3/31時点の主要国の構成比は、
米国:66.45%、日本:7.52%、英国:4.33%

代表的なETF ticker: 1394、CWI( MSCI World ex USA)、

MSCI Kokusai Index

MSCI World ex Japan Indexと呼ばれることもあり、MSCI World Indexから日本を除いた株価指数となっている。

2021/3/31時点での構成比では、米国が7割以上を占める。

代表的なETF ticker: 1550、1657、2513、2514、1680、TOK

MSCI EAFE Index

MSCI World Indexから米国とカナダを除いたもの。

米国を除いていることもあり、構成比は大きく変わり、2021/3/31時点では日本:24.82%、英国:14.29%、フランス:11.14%、ドイツ:9.51%となっている。

代表的なETF ticker: EFA

MSCI Emerging Markets Index

こちらは世界の新興国を対象とした指数。

対象国は以下の通り。

アジア:
中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、パキスタン、フィリピン、
台湾、タイ

北米、中南米:
メキシコ、アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、ペルー

欧州:
チェコ、ギリシャ、ハンガリー、ポーランド、ロシア、トルコ

中東:
クウェイト、カタール、サウジアラビア、UAE

アフリカ: 南アフリカ

2021/3.31時点の主要国の構成比は、
中国:37.9%、台湾:13.84%、韓国:13.33%、インド:9.65%

見ての通り、後世のほとんどは、中華圏および韓国で占められる。

代表的なETF ticker: 1681、2520、1658、EEM、IEMG

MSCI Frontier Markets Index

フロンティア市場の国を対象とした株式インデックス。
対象株式は大型・中型株式で、各国の浮動株時価のおおよそ85%をカバー。

現在の対象国は下記の国です。

アジア:
バングラデシュ、カザフスタン、スリランカ、ベトナム

欧州:
クロアチア、エストニア、リトアニア、セルビア、スロベニア、ルーマニア

中東:
バーレーン、ヨルダン、オマーン

アフリカ:
ブルキナファソ、ベニン、ギニアビサウ、アイボリーコースト、ケニア、モーリシャス、ニジェール、ナイジェリア、モロッコ、マリ、セネガル、トーゴ、チュニジア

多くのアフリカ諸国が対象となっている。アジア地域からはベトナムやバングラデシュといった成長期待の高い国がはいっている。

2021/3/31時点の主要国の構成比は、ベトナム:31.21%、モロッコ:12.98%、ケニア:8.68%、ルーマニア:8.02%、バーレーン:7.25%となっている。

構成からも容易に想像がつくが、この指数への投資は非常にリスクが高いものになるだろう。

MSCI Frontier Markets IMI Index

フロンティア市場の大型・中型株式に加えて小型株式も対象にしている指数。
各国の浮動株時価のおおよそ99%をカバーしている。

これをさらに簡単にしたMSCI Frontier Markets 100 Indexというものもある。
対象国は若干少なくなっている。

他にもアフリカのみを対象にしたMCSI Frontier Markets Africa Indexもある。

代表的なETF ticker: FM(MSCI Frontier Markets 100)


Asia and Pacific

MSCI AC Asia Pacific Index

アジア太平洋地域の5つの先進国と9つの新興国の大型・中型株式から構成される株式指数。対象株式は大型・中型株式。

それぞれの国の浮動株時価のおおよそ85%をカバーしている。

対象国は以下の通り。

先進国:
日本、シンガポール、香港、豪州、NZ

新興国:
中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、パキスタン、フィリピン、台湾、タイ

2021/3/31時点の主要国の構成比は、
日本:32.62%、中国:24.63%、豪州:9.25%、台湾:8.99%、韓国:8.66%


MSCI AC Asia Pacific ex Japan Index

名前の通り、MSCI AC Asia Pacific Indexから日本を除いた株価指数。


MSCI AC Asia Index

MSCI AC Asia Pacific Indexのアジア地域を対象としたもの。

それぞれの国の浮動株時価のおおよそ85%をカバー。


対象国は以下の通り。

先進国:
日本、シンガポール、香港

新興国:
中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、パキスタン、フィリピン、台湾、タイ

2021/3/31時点の主要国の構成比は、
日本:36.08%、中国:27.24%、台湾:9.95%、韓国:9.58%、インド:6.94%


MSCI AC Pacific Index

MSCI AC Asia Pacifix Indexの先進国のみを対象としたもの。

それぞれの国の浮動株時価のおおよそ85%をカバーしている。

対象国:日本、シンガポール、香港、豪州、NZ

2021/3/31時点での構成比は、
日本:67.82%、豪州:19.23%、香港:9.22%

代表的なETF ticker: EPP(MSCI Pacific ex Japan)


Europe

MSCI Europe Index

ヨーロッパの15の先進国の株式から成る指数。

対象国:
オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スぺイン、スウェーデン、スイス、英国。

このようにEU加盟国か否か、EU採用国か否かで区別さているわけではなく、欧州の主要国を一通り取り入れた指数となっている。

2021/3/31時点の構成比は、英国:22.75%、フランス:17.73%、ドイツ:15.13%となっている。


MSCI European Union Index

名前の通り、EU加盟国の大型・中型株式からなる株式指数。

EU加盟国が対象となるため、チェコやギリシャ、ハンガリー、ポーランドといった新興国に分類されている国々も対象国に含まれている。

2021/3/31時点では英国も含まれているようだが、おそらくは取り除かれるものと思う。

EURを採用していないデンマークやスウェーデンも対象国に含まれる。


MSCI EMU Index

この指数はEuropean Economic and Monetary Unionに加盟している国の大型・中型株をから構成される株式指数。

MSCI European Indexよりも対象が少なくなっており、対象国は、オーストリア、ベルギー、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、オランダ、ポルトガル、スぺインである。

EURを採用している地域、Euro areaに投資をしたい場合には、いい指数だと思う。

2021/3/31時点の構成比は、フランス:34.02%、ドイツ:29.04%、オランダ:12.87%となっている。

主要ETF:HEZU、1387


国単位のMSCI

上で紹介した指数(連動するETF)でほとんどの地域をカバーした分散投資を好みのウェイトで作ることが可能だろう。

あとは国単位でのMSCIの株式インデックスもあるため、必要に応じて足すといいかもしれない。

代表的なところとしては、下記のようなものがある。

  • MSCI USA
  • MSCI Japan
  • MSCI China
  • MSCI Australia
  • MSCI Germany

おそらくは主要先進国のほとんどの対象指数がみつかると思う。
ただ、国単位の指数は各国ですでに代表的なものがあるため、MSCIの指数に連動する商品を選ばなくてもいいように思う。

そのため、MSCIの指数は、複数国・地域を対象とした分散投資をする目的で利用するのが一番ではないだろうか。

株式の分散投資はMSCIの各指数と各国の代表的な株式指数を理解しておけば困ることはないと思うが、債券投資などを債券指数(それに連動するETF)で行う場合にはその他の指数への理解も必要になる。