5月の米・CPIは予想超え、ますます高まるインフレリスク

前回の4月分に続いてCPIはヘッドライン、コアともに予想を超える結果となった。

CPIは前年比予想4.7%に対して5.0%、コアCPIは前年比予想3.5%に対して3.8%という結果となった。
(もちろん前月比でもどちらも予想を超える結果)

今回のCPI結果だけみれば、インフレ圧力が更に高まっており、FEDも対処を検討し始める必要があるようにみえるが、先週に発表された米・雇用統計の結果が予想を超えられなかったことが、FEDが金融緩和を続けるだけの根拠(言い訳)を与えてしまったように思われる。

しかし、サプライチェーンの問題なども相まって高まる物価上昇をいつまでも放置できるのかを考えるために、CPI詳細をみてみる。


CPI主要項目別伸び率

Data Source : BLS retrieved from FRED

見てわかる通り、今回はエネルギー・食品を除くコモディティの伸びが特に大きかった。

ベースとなる1年前が落ち込んでいた項目であるというのも要因の一つだが、経済回復の継続、半導体不足やサプライチェーンの問題なども様々な製品価格の高騰を引き起こす原因となっている。
(半導体不足やサプライチェーンといった産業的な問題点によるインフレに対してFEDが対応すべきかは難しいところ)

半導体不足の影響が色濃く反映されているものとしては、中古車の価格がある。
これは半導体不足により車の生産数が減少し、中古車需要が高まることとなった結果である。
前年比でいえば、30%弱の伸び率となっている。

Data Source : BLS retrieved from FRED

自動車以外にも木材や銅、鉄鉱石などの資源価格の伸びもニュースで取り上げられている通り、大きく上昇してきた。CPIのエネルギー項目については、コロナ前の水準まで回復しており、それぞれの要因はともかくとして、全体としてのインフレリスクは意識せざるを得ない。

半導体不足の問題についても数か月から1~2年は影響が続きそうとのことで、価格は高止まりするものと予想できる。

この状況を受けて、6月半ばのFOMC及びパウエル議長の発言内容がどのようなものになるのか注目される。