【豪州雇用統計】2021年6月の失業率はコロナ前以下に

失業率は前回5.1%から更に改善し、4.9%となった。(予想5.1%)

雇用者数変化に関しても、予想3.0万人に対して2.91万人と予想を若干下回る結果となった。

十分な物価上昇圧力をもたらすほどに労働市場が改善してきたとはまだいえないが、失業率低下が続き、賃金上昇、物価上昇につながることが期待できよう。

雇用者変化詳細

Data Source : Australian Bureau of Statistics

少し見にくいと思うので、拡大して直近の数字を確認していただければ、今回はパートタイマーの減少が雇用者数全体の変化数を押し下げる結果となった。

最近のコロナ感染者増加とロックダウンの状況を考えると、ここから数か月も特にパートタイマー数には悪影響が強く出る可能性があり、注視する必要がありそうである。


失業率と就業者比率

Data Source: Australian Bureau of Statistics

上のチャートの通り、失業率だけでなく、労働参加率と就業者比率も既にコロナ禍前の水準まで戻っており、労働市場の改善具合だけでいえば、米国やカナダといった先進国よりも早いものとなっていると考えられる。

一方で、南半球の季節的な要因もあってか、COVID19感染者数が徐々に増え始め、シドニーなどがロックダウンに追い込まれたことは最近の出来事であり、今後この悪影響が雇用統計に出るおそれもあり、不安要素は少なくない。

これを考慮すれば、コロナ禍前から物価上昇には課題のあったオーストラリアが物価目標を達成し、政策金利の上昇に転じるまでに時間がかかるだろうという考えを変える段階ではないと思われる。

通貨取引でいえば、まだまだAUDUSDのペアでいえば、USD買いのほうが魅力があるように思う。