【米・GDP】2021Q2の上昇は予想には届かず
- 2021.07.31
- 経済・マーケット
米GDPの発表がされ、実質GDPは前期比年率で6.5%の伸びとなった。
予想の8.5%には届かなかったものの、GDPの額でいえば、コロナ禍前の水準を超えるまでに至っており、米国経済がコロナの影響からしっかり回復してきていることがわかる。
米国GDP項目別詳細・寄与度
まずは項目別の前年比の動きをみてみる。
以下のチャートの通りいずれの項目も大きく改善していることがわかる。
純輸出に関しては、米国経済の強い回復から輸入が大きく増えたことが原因であり、GDP自体にはマイナスに働くものの経済の弱さを示すものではない。
Data Source : U.S. Bureau of Economic Analysis
次にGDPへの寄与度を確認する。
Data Source : U.S. Bureau of Economic Analysis
※厳密には実質GDP各構成要素の単なる寄与度合計は変化率に一致しない。
各要素の寄与度をみるには下の名目GDPのチャートをみていただいたほうが、正確化と思われます。
米国経済の不安要素
今回もコロナ禍で落ち込んでいた消費が大きく回復したことによって米国経済・GDPが大きく成長することができた。
これはバイデン政権の給付小切手や失業手当などにより積み上げられた個人の貯蓄が消費されるのを待っていたことが大きな要因と考えられる。
しかし、直近の個人貯蓄のデータをみると、コロナ禍で積み上げられた個人貯蓄はほとんど使われてしまっているようである。
Data Source: U.S. Bureau of Economic Analysis
これに加えて、給付小切手の供給がないことはもちろん、失業者への追加手当も徐々に終了を迎え、賃貸未納による立ち退きに関する一時停止措置もなくなってくることを考えると、米国GDPの約7割を占める消費の伸びが鈍化する恐れがあろう。
また、世界的なコロナ感染者数の増加、これによるサプライチェーンや生産への悪影響により食品価格を含む物価の上昇は続くものと思われ、これもまた、消費に悪い影響をあたえる恐れがあろう。
今後はコロナ感染者数の増加に過敏に反応することなく、感染を防ぐことはいくらかあきらめ、経済活動の再開に舵を切り、給付による消費の増加から、平常時の経済・消費活動による成長ペースを取り戻していけるかが重要になると考えられる。
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