【豪州雇用統計】7月の失業率は表面上は改善したが、細部に弱さも

遅くなってしまったが重要な豪州の雇用統計結果をまとめておきたいと思う。

失業率は予想5/0%に対して4.6%と予想を超えて大きく低下する結果となった。

雇用者数についても、予想-4.3万人ほどに対して0.22万人のプラスとなり、予想を上回った。

Data Source: Australia Bureau of Statistics

数字だけみれば、非常に強い結果であり、豪州の労働市場の回復しているようにみえるが、労働参加者や就業者比率に目を向けてみると、どうやら大手を振って喜ぶわけにはいかなそうである。

就業者比率と労働参加率

Data Source : Australia Bureau of Statistics

上のチャートから失業率が大きく改善していることがよくわかるが、今回の就業者比率と参加率の動きに注目してみると、今回の失業率低下が全て望ましい要因からきているとはいえないことがわかる。

今回の参加率は小幅ながら減少しており、職探しをあきらめるなどして、労働市場から出て行ってしまった人たちが増えていることがうかがえる。

また、就業者数を労働年齢人口で除した就業者比率も低下しており、失業率が改善して、働く人の割合が増えているかと思いきや、実際は減ってしまっているという状況である。

これらの数字を失業率と合わせてみると、今回の失業率の低下を素直にポジティブなものととらえ、豪州の経済回復が加速しているとは考えるべきではないように思える。

また、豪州では、今まで抑え込めていたCOVID19の感染者数が急激に増え、シドニーなどの主要都市がロックダウンに追い込まれており、労働市場に大きな影響を与える可能性がある。

また、今までほとんど悪影響を受けていなかった状況からの急激な事態悪化であり、COVID19の感染者数を多く出し続けてきた欧州や米国などに比べて、影響は大きなものになる可能性があるだろう。

以上のように、今回の労働市場は表面上は素晴らしいものの、細部には弱い部分を残しており、また、今後の不安要因も残っていることから、今回の雇用統計を持って豪州の労働市場を過大評価すべきではないだろう。