ニュージーランドの10月利上げは本当に織り込んで大丈夫?

ニュージーランドの中央銀行RBNZは10月にも利上げに踏み切ると市場ではみられていることが多いがはたして、10月に本当に踏み切ることが、それが本当に高い可能性で行われると考えるべきなのかを考えてみたい。

まず、8月18日のRBNZの金融政策決定会合を思い返してみると、前日17日にオークランドでCOVID19の市中感染が1人確認されたことから、ロックダウンに入ることが決まったことを受け、市場の予想に反して利上げを見送った。

つまりは、前回会合においては、たった一人の感染とそれに伴うロックダウンにより、利上げを見送ることになったわけである。

このとこからすれば、10月での利上げが実施されるためには、金融政策決定会合までにはCOVID19の最低限の収束見通しが必要になってくると考えてもよいだろう。

ニュージーランドのCOVID19感染者状況

ニュージーランドのCOVID19感染者数の推移(7日平均)は以上の通りである。
数10人程度の低水準で抑えることができているものの、利上げを見送った時に比べれば、悪化していることに違いはない。

又、ロックダウンは当初は全土で行われたものの、2021/9/7にはオークランド以外のロックダウン解除するとArden首相が発表したものの、オークランドは以前として制限下にある状況が続いている。

経済活動状況

ニュージーランドを含む各国の経済と人の活動状況をGoogle Mobility Reportからみてみたいと思う。

Data Source : Google LLC “Google COVID-19 Community Mobility Reports”.

レポートの一部データを比較してみると、ロックダウンに入ったニュージーランドの経済活動が大きく制限されていたことがよくわかる。

この影響が経済指標のハードデータにはねてくるまでには、時間がかかるだろうが、経済回復ペースが鈍化することは間違いないだろう。

すでにソフトデータの一部にはロックダウンによるマイナスの影響がみられはじめている。
その例として、ANZ Bank New Zealand Limitedのニュージーランド・企業信頼感指数があげられる。

以上の通り、感染者状況もまだ収束の見通しは不透明であり、少なくとも8月の利上げ見送り時点からは悪化していることや収束まで時間がかかり、オークランドのロックダウンが長期化する場合には、経済回復自体の遅れが利上げを遅らせる可能性があることから、10月の利上げを当然視するべきではないように思われる。

この点から、先進国の中で早いテーパリングが期待されるからといってNZDの買いに飛びつくことは、現時点では慎重になるべきだと考えられるのではないだろうか。