【EU・HICP】総合指数は過去10年の最高水準だが、コア指数は安定的

世界的な物価上昇が続く中で、Euro Area及びEU諸国の物価も同じように上昇してきている。

しかし、食品やエネルギー等を除いたコアHICPをみてみると、前年比で2%を上回っている主要国はドイツのみとなっており、ECBが物価目標を達成するにはまだ時間がかかりそうである。

国別HICP比較

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Data Source : Eurostat

この通り、総合インフレ率ではEuro Areaと主要EU諸国ともに2%を大きく超え、非常に高い水準となっている。

世界的なエネルギーや食品価格の上昇に欧州諸国と地域内の家計もさらさられていることを意味している。

国によって経済状況はまちまちだが、COVID19からの回復も途中のなか、これだけ物価があがってしまっては一般家計・消費者は苦しい状況におかれていると考えられよう。

一方でコアHICPは以下のチャートが示すように比較的落ち着いた状況が続いている。

Data Source : Eurostat

ドイツ以外のEU主要国やEuro AreaのコアHICPは2%に届いておらず、現在の総合インフレ率をエネルギーと食品価格の上昇がけん引していることがよくわかる。

今後も冬にむけてエネルギー価格は高止まりするとの予想も多くあり、一般家計にとってはつらい状況が続きそうである。

実際、EU諸国の消費者信頼感指数は、こういった影響を反映してか低調な推移を続けている。

Data Source : Eurostat

これらの状況を勘案すれば、コアHICPもベース効果やサプライチェーン問題の影響があっても多くの国とEuro Areaでは2%に達していないこと、消費者マインドもまだまだ低調な状況にあることから、EU経済は米国経済との比較でいえば、回復が遅れているといわざるを得ないだろう。