ジャクソンホールで日銀の無能さと国内資産からの逃避の必要性を再確認

ジャクソンホールでは再度、日銀の無能な金融政策が海外からの嘲笑の対象になるのではないかと思っていたが、案の定いつも通りの愚鈍な物価上昇に関するコメントを披露することとなった。

これを受けて、日銀の無能さが再確認されたこととなり、国内資産、円建て資産からの逃避の必要性が再度示されたことと思われる。

具体的な総裁発言内容

今回目新しい発言が出てきたわけではないが、下記のいつも通りの異常な物価上昇に関する解釈を示し、日銀が失敗から何も学んでいないことを明らかにした。

「日銀が現行の枠組みを堅持しているのは低インフレが理由」

「基調的インフレは依然として2%目標を若干下回っている」

現在の金理由政策維持の理由に低インフレを上げているが、CPIは1年以上目標の2%を超えた推移を継続しているし、11ヵ月連続で3%を超える上昇となっており、低インフレが理由になるはずはない。

また、CPIが今年度後半に向けて減速してくるとの見方も示しているが、CPIは政府のガソリン補助金や電気料金等の負担軽減策により1%ほど押し下げられていることにより減速しているものであり(参考)、それらがなければ前年比4%以上の上昇が続いているものと考えられ、この主張もまともな認識ではない。

二つ目の基調的なインフレに関しては、基調的なインフレを理解するうえで最も有用と思われる生鮮食品及びエネルギーを除いたコアコアCPIは前年比で4%以上の上昇が続いており、基調的なインフレが2%目標を下回っているという主張は異常としか思えない。

変動の大きな品目を除外して計算する刈込平均CPIでも3.3%の上昇(参考)となっており、日銀にはまともな物価状況の理解は期待しがたいと考えざるを得ない。

Data Source : 総務省統計局
*チャートは端数処理後の指数から前年比の上昇率を計算しているため、端数処理前に計算されている前年比伸び率と数値にずれがあるため、流れをみる参考としてチャートを確認されたい。

これらのことから、日銀の物価状況の解釈は引き続き異常なものであり、無能な金融政策を継続することで日本の自国通貨を毀損し続ける可能性が高い。

これは通貨安を通じた質の悪い物価上昇圧力を強め、実質賃金の減少をに拍車をかけることになるだろう。

また、通貨安による貿易赤字、実質賃金の減少による一般家庭の購買力低下と実質消費の減少による経済状況悪化を反映して更なる通貨安と輸入物価高という負のサイクルにつながるだろう。

日銀の無能さが継続する限りは、日本国内資産からは距離を置くことがとにかく重要なこととなろう。