YCC修正後すぐに臨時の買いオペ実施 無能さを露わにする日銀

日銀は先週金曜日7月28日にYCCの上限レンジを実質1.0%に修正したばかりだが、10年国債利回りが0.60%程に上昇したところで早速臨時の買いオペを実施してきた。

YCCの実質的な調整の目的は通常であれば円安の抑制を通じて、過度な物価上昇を抑えることにあるはずなのだが、その効果を自ら積極的に捨てるという通常では考えられない行動に出た。それもYCC調整の翌営業日にである。

高々0.50%から0.60%に利回りが上昇した程度でいちいち臨時の買いオペなど実施すべきではない。
そんなことをするのなら一体なぜYCCの実質的な上限レンジを1.0%まで引き上げたというのだろう。

なぜだか知られないが、日銀はハト派的に市場からみられなければならないという誤った認識を持ってしまっているのかもしれない。

そもそも通貨安と物価高を抑えるためには、ハト派的な印象よりもタカ派的な印象を市場で持たれるように動くべきである。

それは市場の想定よりもタカ派的であることを匂わせるような発言であったり、市場の想定以上の緩和修正だったりするわけだろうが、今の日銀は全く逆の動きをしているばかりに、緩和修正の効果を全て捨ててしまっている。

このままでは、通貨安に歯止めがかからず、輸入物価の高止まりにつながり、実質金利はマイナス幅が拡大、更なる通貨安…という負のサイクルが継続することとなる。

それは現在の日銀が望まない早い段階での大幅な緩和修正を余儀なくされることにつながりかねず、自らの首を絞めることになってもおかしくないのである。

しかし、過去続いてきた無能な政策運営からして、このことに気づいてか気づかずかはわからないが、この負のサイクルを加速させる方向に日銀は向かうのではないかと思えてならないし、そうだとすれば日本円に希望はなさそうである。