【日本CPI】エネ価格抑制策影響の剥落と基調インフレ率の低下

日本CPIは政府のエネルギー価格抑制策の影響剥落を受けて、前年比上昇率は総合指数で+2.8%(前回:+2.2%)、生鮮食品を除くコアCPIも+2.8%(前回:+2.0%)と前月に比べて上昇率が高まった。

しかし、実質消費支出の低下や設備投資の低迷などにみられるように、日本経済の状況は良くなく、需要の増大が物価高につながっているわけでは決してない。

生鮮食品及びエネルギーを除くコアコアCPIは前年比+3.2%(前回:+3.5%)となっており、エネルギー価格が除かれた基調的なインフレ率という意味では低下してきている。

これは単に日銀のいう持続的・安定的な物価目標達成が通貨安とエネルギー価格高といったコストプッシュ要因に依存したものであることは明らかであろう。

サービス価格の上昇率も落ち着いてきている。

項目別には光熱費が価格抑制策の影響剥落で大きく戻し始めている。娯楽関連は堅調な推移が継続。
エネルギー関連価格は政府が価格抑制策をさらに続けるのか(半ば恒常化するのか)、トリガー条項凍結などの違った形での価格抑制策に動くのかに左右されてくる。

仮に価格抑制策を停止することになれば、CPI総合やコアCPIの上昇率を大きく引き上げることになる一方で、その他の消費はさらに低迷することになり、エネルギー価格の影響を受けないコアコアCPIはディスインフレ傾向を示し続けることになるものと考えられよう。

通貨安もこの傾向を助長するように働くものと思われる。
娯楽関連は円安に伴うインバウンド消費の拡大を受けて強気な価格設定が継続するのではないだろうか。

以上の通り考えれば、日銀の言う視野に入ってきた安定的・持続的な物価目標達成は、エネルギー価格と通貨安を前提とした物価上昇であり、日本の一般消費者がより貧しくなることを意味する。
通貨安により恩恵を受ける外国人の消費対象は価格高止まり、割を食う日本国民の消費対象は価格上昇は比較的落ち着いてくることになるのではないだろうか。