【米国雇用統計】2023年1月 米国労働市場の詳細確認

今回の米国雇用統計は指標の調整があったといえども異常に強い結果が出てきた。

非農業部門の雇用者数は予想19万人を大きく超えて51.7万人、失業率は予想3.6%に対して3.4%と非常に強い結果となった。

雇用者数のうち7.4万人が政府部門での雇用であるが、40万人以上の民間雇用の拡大があった。

ここまで市場コンセンサスを上回る結果がでてくるのはいつぶりだろうか。
とにかく強い雇用統計は近い将来のFRBの利上げ停止期待に疑いを差し込むこととなり、米国債利回り及びUSDは上昇、米国株式は低下させることとなった。

その他の詳細についても米国労働市場の改善がみられる。
いつものように詳細をまとめていきたいと思う。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

失業率と就業者比率

失業率は3.4%まで低下したうえ、E/P Ratioもプライムエージ、生産年齢人口どちらについても上昇しており、とにかく強い結果となった。

前回に続き文句なしの改善といえる。完全雇用の状況でさらに労働市場が逼迫してきているといえ、労働市場からの物価上昇圧力が引き続き問題になるものと思われる。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

失業理由の詳細

失業理由に占める被解雇者の割合の低下、任意の離職者と労働市場への復帰者の割合が増加し、失業理由の内容としても改善がみられる。

雇用者増、失業率低下、失業理由の内容改善と本当に素晴らしいと言わざるを得ない。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

失業理由の分類は下記を参照。

  • 被解雇者(Job Losers) : 会社都合の一時解雇、解雇
  • 退職(Job Leavers) : 自己都合の退職者
  • 契約期間満了(Completed Temporary Job) : 一時的な/臨時の仕事を終えた場合
  • 労働市場への復帰者(Reentrants) : 再度職探しを始めた人(not-in-labor-forceからの復帰)

週給・時給とその他関連データ

平均時給の伸びについては鈍化傾向が続くものの、今まで不安視していた平均週刊同労時間は一気に改善し、2022年前半の水準まで回復した。

それに伴い平均時給と平均週給の伸び率についても乖離が解消された。

労働関連指標にみられた数少ない不安要素も消え去り(少なくとも2023年1月時点では)、米国労働市場は文句なしの強さを示している。

一方でこれがwage push inflationにつながる恐れがあり、FRBの利上げサイクルは市場が期待するよりも長く続く可能性があろう。一先ずは利上げがFFレート5.00%で止まると思っていたが5.50%くらいまでは見ておいたほうがいいのかもしれない。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics