日米インフレ率逆転と続く日銀の無能 

さて、先日発表された日本のCPIが米国のそれを超えたことで、CPIでみた日米のインフレ率の逆転が確認された。

直近の米国のCPIは前年比+3.0%だが、日本のCPIは前年比+3.3%となっている。
これは日本政府の電気料金等の負担軽減策やガソリン補助などがあっての通知であり、実際の日本のCPI上昇率は4%を超えていてるものと考えられる。

日本のCPI詳細確認

下記のグラフは項目別や季節調整別のインフレ率をグラフにしたものである。
注の通り端数処理後の指数から前年比を計算しているためあくまでも参考程度のものである。

日銀の気にする基調的なインフレを示す生鮮食品及びエネルギーを除いたコアコアCPIは前年比+4%を超える上昇を続けており、インフレ鎮静化の兆しはみられない。

総合指数にしても、前述の通り政府の負担軽減策がっても3.3%の伸びとなっており、日銀の物価目標+2%を大きくこえた状態が続いている。

また、項目別にみれば食品価格の高騰が続いており、一般家計が引き続き厳しい状態に置かれていることが分かる。

Data Source : 総務省統計局
*チャートは端数処理後の指数から前年比の上昇率を計算しているため、端数処理前に計算されている前年比伸び率と数値にずれがあるため、流れをみる参考としてチャートを確認されたい。

続く無能な日銀による失策

上述の通り、日銀が目標にしてきた物価目標+2%を大きく超えるインフレ率が継続し、日米のインフレ率が逆転するに至ったわけであるが、日銀の無能さに陰りはみられず、異常な大規模緩和を継続し、YCCのレンジ拡大させできていない状況である。

昨年から物価上昇率が2%を超えたあたりからYCCのレンジを拡大すべきだと主張してきたが、現在の安定的持続的な2%を超えるインフレ率を見る限りその読みは正しかったと自負している(日銀の無能さを見通すことはできなかったが、、、)

現在の日銀の継続する失策は実質賃金を下げ、自国通貨価値を下げてコストプッシュインフレを増長させるという日本経済にとってマイナスの影響しかない。(実質賃金は2023年5月分までで14ヵ月連続減)
現在の物価高と為替市場の動向からして、日銀はYCCやマイナス金利といった危機対応の際にとられるような例外的な緩和策は止め、為替の安定とそれによる輸入物価低下による物価の安定に取り組むひつようがあるだろう。

そうは言っても現実を見れば、就任後2度の貴重な機会を捨てたことからわかるように、植田総裁の政策能力は非常に貧しい状況にあるため、我らが日本が貧しくなり、悲惨な末路を辿ることは間違いなさそうである。

自分たちの立てた目標さえも理解できず、経済指標さえもまともに解釈しない中央銀行を持つ我々日本人は本当に不幸であり、4年も5年も待つことなく中央銀行総裁が変わる機会に恵まれるることを祈る。