何も見通せない植田総裁と愚策の拡大

次回日銀の金融政策決定会合が1週間後に近づいている。

そんな中で日銀関係者の情報としての報道が増えてきている。

こちらのブルームバーグの記事によれば、日銀はYCCの再修正を長期金利動向を見極めて判断するとの方針を”関係者”の取材からわかったとしている。

そもそも日銀は金利動向を見極めて政策方針を決定するのではなく、物価動向を見極めて政策を決定すべきだと思うのだが…

それはともかくとして、何より深刻なことは植田総裁の過去の発言から推測するに、彼は金利動向はもちろんのこと、物価動向も見極めることはまったくできない模様である。

彼の過去の発言を振り返ってみよう。

4/24:「年度後半には物価上昇率は2%を下回る
5/30:「23年度半ば以降にかけてかなりはっきり下がっていく
7/28:「長期金利が1%まで上昇することは想定していないが、念のための上限、キャップとして1%とした

こんな過去の植田総裁の発言とは反対に、まったく物価上昇率は下がっていないわけである。

また、長期金利が1%に上昇することは想定しないなどと発言していたが、現在日銀は、臨時オペと共通担保資金供給オペを乱発して必死に金利上昇を食い止めようとあがいている。

言ってしまえば、金融政策を決定するうえで重要な要因についてまったく見極めることができていないのである。これは中央銀行総裁として致命的だろう。

そして、その致命的な能力不足がゆえか、無意味に10年もの国債利回りが0.8%まで上昇したところで、その数字に何の根拠もないだろうになりふり構わずに臨時オペを実施共担オペを実施で無意味な資金供給を続けるばかりである。

もはや何の効果もないYCCを維持するためだけに政策を行っている様相となっており、実際の物価情勢など気にさえしていないのではなかろうか。

ここまで物価も金利も見通す能力が欠如しており、政策運営能力のない中央銀行の発行する通貨に未来があることだろうか。

さらに言えば、政府も高齢者負担増加と社会保険料減少による財政状況を維持しながらの消費者支援を行うことなく、ガソリン補助、住民税非課税世帯へのばら撒きといった愚策を行っている始末である。

政府も財政状況の悪化とインフレを加速させるという気違い政策を取る/取る方針であり、これも無能な日銀の愚策とともに日本円の信用を傷つけることになるだろう。