米国債利回り急低下が行き過ぎと思われる理由

10年物米国国債利回りは5%を付けてすぐに、利上げサイクルの終了を意識してか一時4.5%を割り込むまでに低下した。

足元では、ムーディーズが米国債の見通しをネガティブに変更したとことからも利回りは4.6%台に戻してはいるものの、依然として大きく利回りが下落した状態が続いている。

一方で、FRBはQTを継続しており、バランスシート及び保有している米国債量は減少を続けている。

膨らむ米国政府の債務残高を中央銀行が吸収しなくなったことによって、市場には米国債があふれるような状況になりつつある。

国債の供給増加、需要はQTにより大きく減少となれば、需給関係から言って米国債価格は軟調に推移するものと考えられる。

ムーディーズの見通し引下げは、一時的な米債利回りの上昇要因にすぎないと思うが、上述の理由から長期債利回りは低下しすぎていると考える。

短期金利についても、パウエル議長が利上げサイクルの終了を示唆するにいたったのが、自然に長期金利が上昇したとこが引締め効果を持つためであったと考えれば、長期金利がここまで低下した以上はスタンスを調整する必要性が出てくる可能性があることには注意が必要であろう。

米債関連のETF等の積上げは一度様子見、再度5%が近づいてからと慎重に動きたいところである。