中東戦争の勃発は日本円を苦しめる

イスラエルが行ったシリア領内の大使館への攻撃に対する報復として、イランがイスラエル本土に向けてミサイル、ドローンを使った攻撃を実施した。

一先ず、イランはこれで終了だと言っているが、イスラエルの出方次第となっている。

黒田前総裁及び植田総裁の致命的なミスの前であれば、地政学リスクが高まるタイミングであれば、日本円の買いが進むことが多かったが、無能な日銀が日本円の信用を毀損して安全資産としての地位を失った日本円は地政学リスクの高まりからの恩恵を受けにくくなっている。

実際、イランからの報復の可能性の高まりが市場の注目を集めているような状況でも、円高の動きは非常に限定的であった。

この攻撃を受けてからのマーケットの動きとしても同じような動きになるのではないだろうか。

また、中東戦争の勃発につながるケースでもそうだとすれば、原油高だけが進行し、原油高・円安によりコスト・プッシュインフレの悪化、経済停滞、貿易赤字の拡大など、通貨安を進める要因の強まりが考えられる。

また、米ドルとの関係で言えば、米国の金利が低下して金利差縮小から日本円が買われるような動きも想定しにくいものと思われる。

米国はFRBの掲げる物価目標を達成できていないどころか、足元のCPIでは非常に頑固な物価上昇の長期化が想定されるような状況であり、これに原油高とサプライチェーンの乱れによる供給サイドからの物価上昇圧力の高まりが加わわることを考えれば、利回りが大幅に落ち込むような状況にはならないだろう。

また、FRBがバランスシートを縮小させている一方で、米国の負債は膨らみ続けており、市中で消化する必要のある米国債の量の増加という問題も抱えている。

このことから、中東の地政学リスクが市場心理を悪化させたとしても、米国債利回りを抑える影響は弱いものとなると考えられる。

以上の通り、中東の地政学リスクの高まるような状況となった場合、安全資産としての地位を失った日本円は、日本の国際収支及び経済を悪化に苦しみ、日米金利差の縮小からも満足な助けを受けられず、日本円減価の流れは変わらないのではないだろうか。

我々日本の一般消費者にとっては、実質賃金減少とインフレ税増加が加速することで、まずます貧しさを感じることが多くなるだろう。