【米国雇用統計】米国労働市場の詳細確認(2025年2月)

25年2月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は概ね予想通りの+15.1万人、
失業率も4.1%へと悪化することとなった。

E/P Ratioや労働時間などの面でも弱い状況がみられ、労働市場にも弱まりが見られ始めた。

失業率と就業者比率

前述の通り、失業率は4.1%へと悪化した。
また、就業者比率(E/P Ratio)は労働力人口全体、プライムエージともに悪化がみられる。

プライムエージのE/P Ratioがしっかりとした悪化傾向に転じるのか、来月の雇用統計が非常に気になるところである。
仮に悪化傾向がはっきりとすれば、5月での利下げ確率を押し上げることになるだろう。

失業理由の詳細

失業理由からは、引き続き明確な悪化・改善の動きは見られない。
被解雇者の割合が低下してから横ばい推移となっていることは、ポジティブな動きではあるものの、その他の指標が悪化している状況を補うほどの情報ではない。

失業理由の分類は下記を参照。

  • 被解雇者(Job Losers) : 会社都合の一時解雇、解雇
  • 退職(Job Leavers) : 自己都合の退職者
  • 契約期間満了(Completed Temporary Job) : 一時的な/臨時の仕事を終えた場合
  • 労働市場への復帰者(Reentrants) : 再度職探しを始めた人(not-in-labor-forceからの復帰)

週給・時給とその他関連データ

週給・時給の前年比増加率は、概ね横ばいの推移が続いており、インフレ率が低下していることを考えれば、これだけを見れば悪い動きではない。

しかし、平均週間労働時間が低水準で推移していることや失業率の上昇など、その他経済指標の軟調な数字を合わせてみれば、もう一段水準を落としてくるのではないかとの不安が残る。

今回の雇用統計は多少弱かったものの、3月のFOMCでの利下げにつながるようなものではないだろう。
一方で、労働市場の弱まりの兆候が確かなものになったとすれば、5月での利下げを確かなものにしようことから、次回の雇用統計は特に注目となるだろう。

運用に関しては、実体経済の弱まりから、金利低下につながりそうな局面ではあるものの、トランプ大統領の関税や今後の政策がまったく読めないことから、一先ず米債ETFの追加購入は実施せずに様子見としておきたい。