【米国雇用統計】2021年7月分は非の打ちどころのない強さ

7月分の雇用統計結果が発表されました。

非農業部門雇用者数は+87万人の予想に対して94.3万人、失業率は5.7%の予想に対して5.4%と非常に強い結果となった。

ついでに前回分の雇用者数が84.5万人から93.8万人に上方修正されてた。

いつも通り詳細内容をみていくが、詳細内容をみても、いずれも改善していることが確認できる。

失業率と就業者比率

Data Source: BLS, retrieved from FRED

失業率はコロナ禍後で最低水準まで低下した。
前回の失業率が予想より高めだったが、今回はしっかりとした低下がみられた。

このペースでいけば年末には失業率が5%を下回るということがあってもおかしくはないだろう。

就業者比率に関しても改善しており、参加率の低下による失業率の改善でないことは明らかであり、今回の失業率と就業者比率の改善は文句なしの強さだと思う。

失業理由の詳細

Data Source: BLS, retrieved from FRED

下記失業者分類のうち、理由として望ましくない被解雇者が失業者に占める割合は今回もしっかり減少しており、自己都合の退職や最も望ましいと考えられる”労働市場への復帰者”の割合も増えており、失業理由をみても労働市場の強さを感じられる。

  • 被解雇者(Job Losers) : 会社都合の一時解雇、解雇
  • 退職(Job Leavers) : 自己都合の退職者
  • 契約期間満了(Completed Temporary Job) : 一時的な/臨時の仕事を終えた場合
  • 労働市場への復帰者(Re-entrants) : 再度職探しを始めた人(not-in-labor-forceからの復帰を意味する)
  • 新規参加者(New Entrants) : 新たに職探しを始めた人

週給・時給とその他関連データ

前回よりも伸びが加速した。強いインフレ率を考えれば、消費の成長を継続させるためにはこれくらいは必要だろう。

Data Source: BLS, retrieved from FRED

平均労働時間も前回と同様の水準であり、今のところは問題はみられない。
しかし、COVID19感染者数の増加によって労働時間の減少につながらないかには注意を払う必要があるだろう。

Data Source: BLS, retrieved from FRED

まとめとテーパリングへの影響

今回の雇用統計を見る限り、パウエル議長が気にしていた労働市場(経済全体?)の大きな改善は確認できていると考えることができるのではないだろうか。

そう考えれば、前回のFOMC後の発言は労働市場・雇用の状況を理由にして、テーパリングに後ろ向きな発言が含まれていたが、労働市場の改善がみられてしまえば、テーパリングを遅らせる言い訳も苦しくなってくるものと思われる。

また、先日もクラリダ副議長が年内のテーパリングについて言及したように、FOMCメンバーの多くがテーパリングに前向きな考えを持つようになっており、これに押される形でパウエル議長が動かなければならなくなるとも考えられる。

以上のことから、今回の雇用統計確認後の結論としては、年内のテーパリング、2022年後半の利上げといったシナリオが引き続き期待できるものと考える。