【米国雇用統計】米国労働市場の詳細確認(2025年3月)
- 2025.04.06
- 経済・マーケット
25年3月の雇用統計は、非農業部門雇用者数は予想の13.5万人を大きく上回り22.8万人、
失業率は予想の4.1%よりも高い4.2%となり、ヘッドラインで言えば、予想以上に強い結果であった。
失業率と就業者比率
前述の通り、失業率は4.2%へと悪化した。
また、就業者比率(E/P Ratio)は労働力人口全体、プライムエージともに悪化がみられる。
プライムエージのE/P Ratioがしっかりとした悪化傾向に転じるのか、来月の雇用統計が非常に気になるところであったが、流れを見る限り、悪化傾向に転じたものと思われる。
トランプ大統領の相互関税による悪影響もあり、この流れは今後も継続することが予想される。
失業理由の詳細
失業理由からは、引き続き明確な悪化・改善の動きは見られない。
しかし、被解雇者の割合が低下してから横ばい推移が3月も継続しており、状況は悪くない。
相互関税の影響が始めに見られるとすれば、レイオフの数字となろうことから、今後は注意深く変化を追っていく必要があるだろう。
失業理由の分類は下記を参照。
- 被解雇者(Job Losers) : 会社都合の一時解雇、解雇
- 退職(Job Leavers) : 自己都合の退職者
- 契約期間満了(Completed Temporary Job) : 一時的な/臨時の仕事を終えた場合
- 労働市場への復帰者(Reentrants) : 再度職探しを始めた人(not-in-labor-forceからの復帰)
週給・時給とその他関連データ
週給・時給の前年比増加率は、概ね横ばいの推移が続いているが、来月以降の数値からは明確な低下傾向に入るのではにだろうか。
平均週間労働時間も若干の回復は見られたものの、低水準で推移していることに変わりはなく、その他経済指標の軟調な数字や相互関税の影響を勘案すれば、下方向へのリスクを意識せざるを得ない。
相互関税が労働市場への悪影響を与えるまでには若干のタイムラグが考えられることから、利下げペースの加速を正当化するような雇用統計の数字が出始めるのは6月以降の発表分になろうと思われる。
また、相互関税は物価上昇圧力も持つことから、FRBの利下げも6月以降になるのではないだろうか。
運用に関しては、保有し続けている米債ETF等が支えとなっていることから、追加購入は引き続き見送りながらも継続保有、久しぶりの大幅調整となった外国株式を段階的に購入することの検討へと移るべきではいかと思っている。
通貨に関しては、若干円が強くなっていることもあり、円高タイミングでは積極的に米ドル等の外貨購入に動きたい。
日本経済・財政・通貨は、高齢化及び傲慢な高齢者によるシルバー民主主義がもたらす悪影響といった自国要因のみで潰れるとの考えは変わらない。
そのため、日本円及び日本株、国内債券は引き続き避ける方針を維持したい。
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