止まらぬ日本国債利回りの上昇
- 2025.05.18
- 経済・マーケット
この土日はムーディーズによる米国債の格下げが大きな話題となっているが(参考)、
急速に進む長期日本国債利回りの上昇もまた、注目を集める債券市場の動きの一つである。
現時点で30年債利回りは3%付近まで上昇しており、今後30年間の短期金利の平均は3%付近になるであろうことを債券市場は示唆している。
上昇ペースは非常に早く、減速の兆候は今のところは見られない。
近いうちに日本の30年債利回りはドイツやカナダの利回りを超えてくることだろう。


この動きは日本の財政リスクやインフレ率を考えれば当然の動きである。
既に日本のCPI上昇率(前年比)は主要先進国のそれを上回っており、それでも尚、日銀の植田総裁は基調的なインフレ率は物価目標2%を達成していないとのスタンスを堅持していることから、更にインフレが加速するか、少なくともインフレ率の高止まりすることが期待される。
ともすれば、リスクプレミアムや期待インフレ率を考慮して決まる名目金利は上昇して然るべきであり、現在の日本国債利回りは低いくらいと考えられよう。
以上の考え方が正しく国債利回り上昇が止まらないとすれば、GDP対比で世界最悪の財政状況である日本の財政は、国債費の増加で急激に悪化することが予想される。
そうすると米国の信用格下げに続いてい来るのは、日本の信用格付けの引下げとなる可能性は十分に考えられる。
この問題への対応としては歳出削減しかないが、シルバー民主主義国家の日本は社会保険料の削減をすることができず、実質的な破綻(形式的には自国通貨建て債務でのデフォルトはないとして)を待つばかりだろう。
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