楽天証券iDeCoの取扱い投資信託比較
- 2022.01.31
- 金融商品・サービス
楽天証券のデータをもとに楽天証券iDeCoで取扱いのある投資信託を比較してみたいと思う。
使っているリスクリターンデータは楽天証券のページから取得。
留意点として、アクティブリターンや情報比などの計算に使っているベンチマークがどれなのか不明であるので注意いただきたい。
又、アクティブリターン等は年率。
国内株式ファンド
国内株式ファンドで取り扱い以下の6商品
- 三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンド
- たわらノーロード 日経225
- iTrust日本株式
- MHAM日本成長株式ファンド
- フィデリティ・日本成長株・ファンド
- コモンズ30ファンド
インデックスファンド
手数料の低い傾向にあるインデックスファンドを見ていこうと思う。
インデックスファンドは上記の国内株式ファンドのうち2つであり、TOPIXに連動するものと日経225に連動するものがある。
“三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンド”がTOPIX(配当込み)の動きに連動することを目指して運用が行われる投資信託となっている。
“たわらノーロード日経225″は名前の通り日経225に連動することを目指す投資信託である。
これらに関しては日本株に幅広く投資するのか、日本を代表する大企業に投資をしたいのかによって選択することになるだろう。
国内株式アクティブファンド
国内株式ファンド6つのうち残りの4つがアクティブファンドとなっている。
・iTrust日本株式
日本国内のナンバーワン企業(ブランド力、技術力、商品・サービス開発力及びマーケティング力を有し、業界トップシェアを誇る企業、または今後それが期待できる企業)の株式に投資をするファンドとのこと。
運用成績はアクティブファンドとして悪くなく、2022/1/28時点の過去1年のアクティブリターン(当該ファンドのリターン-ベンチマークのリターン)は5.90%、過去3年の年率が1.69%、過去5年の年率が0.81%となっている。
又、アクティブリターンをアクティブリスク(トラッキングエラーとも呼ばれ、アクティブリターンの標準偏差を意味する)で除した情報比では、1年が2.13、3年が0.56、5年が0.25となっている。
アクティブリターンは高ければ高いほど良い、アクティブリスクは低いほどアクティブリターンにブレがなく安定していることを意味するため、情報比(インフォメーションレシオ)は高いほどアクティブファンドの運用が上手くいっていることを意味する。
信託報酬(税込み):0.979%
・MHAM日本成長株式ファンド
ボトムアップ・アプローチぬよる投資銘柄選定を基本とした運用を行う。
色々調査して成長期待のある企業に投資するファンドということであろう。
運用コストは非常に高コストであり、こちらの投資信託の購入は躊躇せざるを得ない。
信託報酬(税込):1.705%
アクティブリターンをみても、2022/1/28時点の過去1年で-15.20%、過去3年年率が-2.33%、過去5年年率が4.55%となっており、5年でみた場合にはプラス幅は大きいものの、直近の運用パフォーマンスは芳しくなく、このアクティブファンドへの投資価値を疑わざるを得ない。
又、トラッキングエラーが大きく過去5年年率で11.24となっており、アクティブリターンの変動が激しいことがうかがえる。
・フィデリティ・日本成長株・ファンド
こちらも成長企業を選定して投資を行う。
TOPIX(配当込)をアウトパフォームすることを目標としている。
このファンドも信託報酬が高く設定されている。
信託報酬(税込):1.683%
運用成績としては、過去1年のアクティブリターンが-3.31%、過去3年が3.96%、過去5年が1.85%となっている。
トラッキングエラーは過去1年:5.69、過去3年:4.61%、過去5年4.46となっており、MHAM日本成長株式ファンドよりもアクティブリターンが安定していることがわかる。
国内成長株式アクティブファンドに投資をするのなら、このファンドを選んだほうがいいように思う。
コモンズ30ファンド
30銘柄程度を選定し、長期集中投資するファンド。
手数料的には楽天証券iDeCoの国内アクティブファンドの中では魅力的な水準。
信託報酬(税込)1.078%
アクティブリターンが過去1年:3.93%、過去3年:2.54%、過去5年:1.70%としっかりしており、トラッキングエラーも過去1年:4.10、3年:4.46、5年:4.28と比較的安定したもいのとなっている。
情報比でみると過去1年:0.96、3年:0.57、5年:0.40となっていた。
長期投資を行うファンドであるため、このファンドだけの投資でなく、国内株式部分を構成するにしてもその他のインデックスファンドなどと合わせて保有するほうがいいかもしれない。
国内債券ファンド
国内債券ファンドの取扱いは、NOMURA-BPI総合指数に連動することを目指すインデックスファンドが1本、その指数をアウトパフォームすることを目標とするアクティブファンドが1本となっている。
インデックスファンドについては特にいうこともないので、アクティブファンドについてまとめておく。
・明治安田DC日本債券オープン
前述のとおりNOMURA-BPI総合指数をアウトパフォームすることを目標とした国内債券アクティブファンド。
信託報酬(税込):0.66%
手数料がもう少し低いと嬉しいところではある。
運用成績としては、2022/1/28時点のアクティブリターンが過去1年:0.32%、3年:0.84%、5年:0.83となっており、しっかりとベンチマークをアウトパフォームすることができている。
トラッキングエラーは1年:0.22、3年:0.61、5年:0.50であった。
過去の年率リターンも1年が0.52%、3年:0.64%、5年:0.95%としっかりしており、安定運用部分としてポートフォリオの一部に組み入れる余地は十分にあるものと思われる。
(日本の物価上昇と日銀のそれに対する対応には注意する必要があるが)
国内REIT
国内REITについても東証REIT指数に連動することを目指すインデックスファンドが1本とアクティブファンドが1本といった取扱いになっている。
アクティブファンド側だけ見ておく。
・野村J-REITファンド
J-REITのアクティブファンド。
信託報酬(税込)は1.045%となっている。
運用成績としては、アクティブリターンが過去1年:0.27%、3年:1.28%、5年:1.30%となっており、トラッキングエラーは1年:1.68、3年:2.76、5年:2.21であった。
情報比が5年で0.59とそれなりに高く、アクティブリターンもしっかりしていたことを考えると、このファンドも選択肢の一つとして考えていいだろう。
外国株式ファンド
外国株式インデックスファンド
・たわらノーロード 先進国株式
こちらはMSCIコクサイ・インデックス(円換算ベース、配当込み、為替ヘッジなし)に連動することを目指すインデックスファンドである。
MSCIコクサイ・インデックスはMSCIワールドから日本を除いたものであり、日本以外の主要先進国株式に幅広く分散投資することができる。
・インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式
MSCIエマージング・マーケット・インデックス(円ヘッジなし・円ベース)に連動することを目指すインデックスファンド。
この連動対象指数は2021年12月時点で中国が約32%、台湾が約16%を占めており、中国と台湾だけで半分を構成していることから、チャイナ・リスクによって大きく影響を受ける可能性があることは認識しておく必要があるだろう。
後は韓国とインドがそれぞれ当該指数の約12~13%を構成している。
・楽天・全米株式インデックス・ファンド
CRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)に連動することを目指すインデックスファンド。
CRSP US トータル・マーケット・インデクスは、米国の4,000ほどの大型・中型・小型・超小型を含む銘柄から構成されており、米国の投資可能銘柄の100%近くをカバーする。
このインデックスファンドに投資することで米国の株式に対して幅広く分散投資することができる。
ただし、このファンドだけでは米国以外の先進国株式への分散投資を行うことができないため、地域分散を考えれば、その他のファンドの保有が必要になるだろう。
外国株式アクティブ、インデックス
・ラッセル・インベストメント外国株式ファンド
複数の運用スタイル、複数の運用会社を組み合わせた「マルチ・マネージャー運用」を行うマザーファンドに投資することを通して、日本を除く世界先進各国の市場で取引される株式へ投資を行う。
信託報酬(税込):1.463%
アクティブリターンが過去1年:7.70%、3年:2.42%、5年:2.01%であり、
トラッキングエラーは1年:4.29、3年:3.03、5年:2.75と安定したアクティブリターンをあげていた。
それにより、情報比も1年:1.80、3年:0.80、5年:0.73と高い数字となっている。
(特に1年が1を超えることができている点は評価できる)
・iTrust 世界株式
高い競争優位性を持つグローバル優良企業の株式への投資を行うアクティブファンド。
こちらのファンドも先進国株式への投資がほとんどである。
信託報酬はラッセル・インベストメント外国株式ファンドに比べて低め。
信託報酬(税込):0.979%
一方で運用成績に関しては、アクティブリターンが過去1年:2.38%、3年:0.77%、5年:1.76%となっており、若干目劣りする結果である。
情報比でみても1年:0.75、3年:0.22、5年:0.54となっており、トラッキングエラーを考慮してみても若干パフォーマンス面では劣るようにみえる。
国内外株式ファンド
国内外株式ファンドは日本国内株式と海外株式の両方を主たる投資対象とする投資信託である。
インデックスファンド、アクティブファンドともに1本ずつの取扱いがある。
・楽天・全世界株式インデックス・ファンド
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)に連動することを目指すインデックスファンド。
この連動対象指数は世界の先進国、新興国の大型・中型・小型株式から成る株式指数であり、新興国も含んでいること、小型株までカバーしていることから、あらゆる地域、企業規模に幅広く分散投資することができる。
日本と新興国も含んでいるため、この銘柄一つでポートフォリオの株式部分は十分ともいえるだろう。
ただし、この対象指数の米国株式のウェイトが60%ほどを占めており、米国株式のウェイトを落としたいと考える場合には、その他の銘柄を適度に加えるといいだろう。
・セゾン資産形成の達人ファンド
投資対象ファンドを通じて世界の株式に分散投資を行うアクティブファンド。
手数料は決して低くはなく、もう少し低くないと投資対象としては魅力がない。
・実質信託報酬(税込):1.55%
運用実績についても、アクティブリターンは過去1年:-5.17%、3年:-1.25%、5年:0.81%となっており、安定的にアルファをあげることができていない。
又、トラッキングエラーが1年:]6.37、3年:8.65、5年:7.78となっており、アクティブリターンのブレも大きく、唯一プラスの5年年率の情報比も0.10にすぎない。
運用成績と実質信託報酬の高さからして、少なくとも現時点では、このファンドは投資対象に選ぶ意味はないと考える。
外国債券ファンド
日本の超低金利を考えれば、分散投資を考えるうえで外国債券はポートフォリオへの組入れは必須といってもいいのではないだろうか。
外国債券イデックスファンド
外国債券インデックスファンドとしては、FTSE世界国債インデックス(除く日本、円ベース、為替ヘッジなし)に連動するもの、FTSE世界国債インデックス(除く日本、円ベース、為替ヘッジなし)に連動するもの、JPモルガン・ガバメント・ボンド・インデックス・エマージング・マーケッツ グローバル・ディバーシファイド(円ヘッジなし・円ベース)に連動するものの3本がある。
FTSE世界国債インデックス:
現地通貨建ての投資適格固定利付ソブリン債を対象とした債券指数である。
20ヵ国以上のソブリン債をカバーしており、多くの投資信託やETFのベンチマークとしても利用される代表的な債券指数である。
JPモルガンGBI-EMグローバル・ディバーシファイド:
新興国14ヵ国(ブラジル、ポーランド、メキシコ、南アフリカなど。中国は含まれない)の現地通貨建て国債を対象とする債券指数である。
外国債券アクティブファンド
・みずほUS杯イールドファンド
外国債券のアクティブファンドとしては、このファンド1本の取り扱いのみである。
そして高コストである。
信託報酬(税込):1.54%
外国債券のアクティブファンドに投資をしたい、米国のハイイールド債に投資したいということであれば、これを選ぶしかない。
しかし、成績は悪くなく、アクティブリターンは過去1年:1.10%、3年:1.71%、5年:0.81%となっている。
トラッキングエラーは1年:1.62、3年:2.58、5年:2.53
バランスファンド
・三井住友・DC世界バランスファンド(動的配分型)
複数の投資信託証券等への投資を通じて、世界の債券、株式及びリート等に投資するバランスファンド。
市場のリスク選考状況によりポートフォリオを構成するアセットクラスのウェイトを機動的に調整するとしている。
つまりは、普通のバランスファンドである。
手数料としても至って普通。
実質信託報酬:1.292%
運用成績は悪く、過去1年のアクティブリターンは-0.63%、3年が-3.89%、5年が-3.56となっており、このバランスファンドを選択する意味はないだろう。
・三菱UFJ DCバランス・イノベーション(KAKUSHIN)
こちらのファンドは、複数のマザーファンドを通じて、国内及び先進国の株式、債券及び短期金融資産に実質的な投資を行う。
信託報酬(税込):0.66%
バランスファンドとしては信託報酬は良心的なほうではないでしょうか。
こちらのファンドも20221/28時点の過去1年のアクティブリターンが0.84%であるが、3年、5年はマイナスであり、トラッキングエラーも安定していない(1年:1.85、3年:6.83、5年:5.65)ことから、成績が良いとは言い難い。
・投資のソムリエ
マザーファンドを通じて、国内外の公社債、株式及びリートに投資し、それぞれの配分比率を適宜変更して運用するバランスファンド。
安定的な運用を基本とするファンドであり、基準価額の変動リスクを年率4%程度に抑えて運用する方針を持つ。
実質信託報酬(税込)は1.21%
運用成績は良くなく、アクティティブリターンは1年:-4.24%、3年-1.42%、5年:-0.48%となっている。
投資対象に考える必要のないファンドだろう。
・セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
主としてバンガード社設定の国内外株式及び債券を対象としたインデックス型外国投資証券へ投資をする。各市場の投資比率は各地域の市場時価総額を勘案して適宜変更される。
株式と債券のウェイトは原則として50:50。
インデックスファンドを利用してバランスファンドを作っているようなイメージである。
そのため、手数料としても比較的リーズナブル。
信託報酬(税込):0.506%
手数料が良心的なことに加えて、運用成績も良く、アクティブリターンは過去1年:3.73%、3年:3.37%、5年:2.39と非常に安定している。
ポートフォリオの株式ウェイトが基本的に50%となるため、株式市場が大きく下がるような場面では厳しいかもしれない。(仮に株式市場が下がる可能性が高いと強く思うときがあれば自分で自身のポートフォリオのウェイトを調整すればいいと思う)
機動的にポートフォリオを組み替えるようなアクティブファンドへの投資を考えている人にとっては、投資対象にはならないだろうが、手数料と運用成績を考えれば、バランスファンドの中では一番いい選択肢だと思う。
・楽天・インデックス・バランス
外国投資信託への投資を通じ、全世界の株式及び投資適格債へ分散投資を行う。
どちらも代表的な指数に連動する投資成果の確保を目指す。
基本配分は株式:15%、投資適格債:85%と非常に保守的な構成となっている。
実質信託報酬(税込):0.163%
インデックス投資の組み合わせであることから信託報酬は低い。
ポートフォリオを自分で考えるのが面倒又はできない、リスクは低めの運用がいいため株式のウェイトを低く保ちたいと考えている人には選択肢の一つになるのではないだろうか。
その他アセットクラス
その他としては、海外REITのインデックスファンド、金価格への連動を目指すファンドが用意されている。
楽天ターゲットイヤーというバランスファンドもあり、ターゲットイヤー(運用終了年)が近づくにつれてポートフォリオの株式ウェイトを減らし、債券ウェイトを増やしていくようなものもある。
これに関しては、他のファンドと比較することが適切か判断できないため、今回は触れないことにする。
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