【米国雇用統計】2022年3月の労働市場詳細確認

今回の米国雇用統計では、雇用者変化が予想の49万人に対して43.1万人、失業率が予想の3.7%に対して3.6%となった。

雇用数が予想には届かなかったものの、40万人以上のプラスは十分に強い結果に変わりない。

失業率については予想よりも大きな改善となっている。すでに完全雇用水準になっており、労働市場の逼迫が賃金を上昇させ、物価上昇圧力を更に強める可能性が高い。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

失業率と就業者比率

失業率の改善はもちろんのこと、就業者比率についてもプライムエージは80%、全体でも60%を回復しており、米国労働市場は文句なく完全雇用の状態を達成したといえるのではないだろうか。

高齢化等の影響はあるだろうが、就業者比率がコロナショック前の水準まで回復するのも時間の問題だろう。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

失業理由の詳細

失業理由の内容をみても労働市場は改善が続いていることがうかがえる。失業に占める被解雇者の割合はコロナショック前の水準まで低下した。

また、労働市場への復帰者の割合も上昇しており、非常にいい流れができている。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

失業理由の分類は下記を参照。

  • 被解雇者(Job Losers) : 会社都合の一時解雇、解雇
  • 退職(Job Leavers) : 自己都合の退職者
  • 契約期間満了(Completed Temporary Job) : 一時的な/臨時の仕事を終えた場合
  • 労働市場への復帰者(Reentrants) : 再度職探しを始めた人(not-in-labor-forceからの復帰)
  • 新規参加者(New Entrants) : 新たに職探しを始めた人

週給・時給とその他関連データ

週給・時給ともに名目ベースでは堅調なペースでの伸びがみられる。

しかし、歴史的な高インフレ率によって実質ベースでは賃金の伸びはマイナスとなっており、今後の消費や消費者信頼感を悪化させる懸念がある。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

平均週間動労時間に関しては大きな変化なし。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

労働市場は非常に強い状況が続いており、米国経済への不安となるようなサインは基本的には見当たらない。

しかし、非常に逼迫した労働市場が物価上昇圧力を補強することにはなるだろうことから、インフレ率の更なる高まりや家計の購買力の低下が継続することには注意を払う必要があるだろう。