【米国CPI・PPI】2021年10月分、米国インフレ勢い止まらず

米国のFOMCメンバーが当初想定したよりも強く、長引く物価上昇は2021年10月も高い水準が続いている。

CPIは総合指数が予想5.9%を超えて6.2%、コアも予想4.3%を上回り4.6%となった。

PPIは総合指数もコアともにコンセンス通りの結果となり、それぞれ8.6%と6.8%であった。

9月分のPPIの前月比が落ち着いたことで一時の安心が広がることもあったが、今回の物価指標の結果はインフレリスクは強い懸念事項であることを示唆することとなった。

その詳細も確認されたい。

CPI詳細

季節調整済みのCPIデータの詳細をみていく。

まず総合指数とコア指数の前年比及び前月比を確認すると、前月比・前年比ともに上昇率が加速しており、総合指数の前年比はついに6%を突破、前月比の伸びも6月のそれを上回っている。

大方の予想通りエネルギー価格は高止まりしたまま冬を迎え、今後も高い水準が続くと考えられるし、中国国内でのコロナ感染者数の増加が更なるサプライチェーンの混乱につながるとも考えられ、高いインフレ率は今後も続きそうである。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

主要項目別にみても全ての項目でインフレが加速しており、幅広い項目でインフレ率の高まりが確認できている。
それに伴いコア指数も上昇率が加速しており、簡単には収まらなそうである。

直近FOMCのステートメントも現在のインフレについて”一時的”と説明してきたものを”一時的と思われる”と文言を変更しており、頑なに”一時的”と発言を続けてきたFOMCステートメントやパウエル議長も一時的ではないかもしれないと認めてきている。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

PPI詳細

こちらも季節調整済みデータを確認する。

前回は前月比の伸びが鈍化したことからインフレ懸念が一時薄れるようなこともあったが、今回はコンセンサス通りのしっかりした結果となった。
当ブログのCPI・PPIの前回記事で「 このPPIの水準や過去の動きを考えれば、企業の支払うコストが安定してくると考えるのは時期尚早だろう 」と指摘してきたが、中国や欧州でのコロナウイルス感染者数の再増加やエネルギー価格の高止まりを考えれば、現在もインフレ懸念に注意を払い続けるべき状況は続いているといえるだろう。
(当然といえば当然だが)

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

以上のようにCPI、PPIの総合指数はともに上昇率を加速させており、来年以降も収まらない恐れがあることを考慮すれば、想定よりも早い利上げにも注意をする必要があるだろう。

最も早い利上げシナリオでいえば、債券購入プログラムが終了する6月の翌月あたりが考えられる。

ただし、FRB議長の席について、パウエル議長が続投するわけではなく、ブレイナード理事が議長の席につくこととなるようであれば、一気に早期利上げ期待が後退するとも考えられるため、今後の利上げペースをみるうえではインフレ率に加えてFRB議長の人事にも非常に注意が必要である。