【日本CPI】7月のインフレ状況確認

日本の7月のCPIは前年比2.6%、生鮮食品除くコアの前年比が2.4%となり、それぞれ前回の2.4%、2.2%から上昇ペースが加速している。

引続き両指標は日銀が目標と強いる水準を超えての推移が継続しており、今後もそれが継続するものと考えられる。

米国のコアCPIと近い食品とエネルギーを除くCPIは前年比+0.4%ほどの伸びとなっており、低い状況にあるものの、ここのところ伸びが加速してきている。

項目別詳細確認

大きな枠組みではサービス価格の伸びが非常に弱く、財の価格上昇率が非常に高い状況となっており、円安による輸入品価格の上昇や資源価格の上昇などが財の価格を押し上げていることがうかがえる。

一方でコロナ感染者増加等の影響もあってか、サービス価格の上昇は起きていないといったところだろうか。
しかし、今後は人手不足の影響が顕在化してくればサービス価格も遅れて伸びてくることも考えられるかもしれない。

Data Source : 総務省統計局

項目別にみれば、光熱費や食品価格の上昇がその他のものに比べても相対的に大きくなっており、一般家庭・消費者にとって苦しい状況が続いていることがわかる。

ニュースでもよく取り上げられているように、今秋には更に広い項目での食品・生活必需品の値上げが予定されており、家計の購買力はますますむしばまれることとなるだろう。

Data Source : 総務省統計局

今後の金融政策への影響

思っていたよりもはるかに頑固な黒田総裁率いる日銀がこの程度の物価上昇ですぐに動きに出るとはまだ考えにくい。

しかし、日本の国内生産がコロナ前の水準まで回復してきたことから、いままで日銀が大規模緩和を調整しない理由の一つとしてきた”日本経済はコロナショックからの回復途上にある”という状況でもなくなってきたと思われる。

また、物価上昇についても日銀が需要によるものでない等の言い訳をしているものの、2%をしっかり超えた水準まできており、今後も勢いが増すとすれば、3%近くまでの上昇が年後半にみられれば、大規模緩和を調整しない理由はもはやなくなっているのではないだろうか。

また、一般消費者からだけでなく経済界からも円安によるデメリットの指摘が増えるなかで、いつまで円安は日本経済にとってプラスと言い続けることができるだろうか。

黒田総裁が自分の間違いを認めることができず、任期満了まで大規模緩和の調整に取り組まないといった考え方も多くなってきているものの、個人的には引き続き年後半での大規模緩和の調整(イールドカーブコントロールのレンジ拡大)を期待しておきたい。