実質賃金を下げ続ける日銀の自己満

2023年5月23日に発表された実質賃金確報値では、実質現金給付総額は前年比-2.3%、きまって支給する給与は-3.3%と大きな減少の継続が示された。

これで実質賃金は12ヵ月連続の低下となり、国民の購買力は低下を続け、貧しくなるばかりである。

また、4月の日本CPIは、総合指数が前年比+3.5%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は前年比+4.1%と非常に早いペースでの上昇が続いている。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数の上昇率は41年7ヵ月ぶりの高さである。

一方で日銀の植田総裁は、目標を大きく超える物価上昇率を前にしても、年後半には物価上昇率が落ちてくるため、異常なほどの大規模緩和を継続すべきだと主張を続けている。

日銀は物価の番人としての責務を放棄し、強い物価上昇率だけを追い求め、誰も望まぬ実質賃金の減少を加速さえるような国民窮乏化政策を取り続けているわけである。

国民にとっての経済的な利益は実質賃金の増加であろうが、日銀はそれを無視して今となっては形骸化して達成条件も良く分けらなくなった安定的・持続的な物価上昇率2%の達成という自己満足に国民を付き合わせている。

これが招くのは国民の困窮と日本の自国通貨及び資産の米ドル換算価値低下である。

そして長期的には国民の困窮は少子化や学生の教育機会(特に留学等の機会)の欠如といった将来の世代への悪影響もあたえることになるだろう。

短期的には、経済的理由からの犯罪の増加、安い日本への外国人の入国増加に伴う問題の増加につながるだろう(安い国は安く扱われる)。

黒田前総裁と同じ考えで植田総裁が5年間失策を続ければ、日本はしっかりと先進国とは言えない状況になっているだろう。そうならないことを祈る。

Data Source : 総務省