【米国雇用統計】2022年1月の労働市場詳細確認

NFP発表前のADP雇用統計が予想を大きく下回りマイナスであったことから、弱い数字が出てくるのではないかと思いきや、市場予想の12.5万人を大きく超える46.7万人増となり、USDを押し上げることとなった。

引き続きタイトな労働市場の状況からインフレ圧力が強まるリスクを意識させるような結果であった。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

失業率と就業者比率

失業率は前回の3.9%から4%へと上がってしまったが、就業者比率でみれば、労働人口全体とプライムエージともに上昇しており、失業率4%は完全雇用水準であることに変わりないことから、米国の労働市場は非常にいい状態にあることがうかがえる。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

失業理由の詳細

失業理由の内訳までみると、被解雇者の割合が上がり、労働市場への復帰者(Reentrants)の割合が下がっていることから、若干理由としては望ましくないものが増えている。

このあと触れるが、週間平均労働時間の減少もみられたことから、COVID-19デルタ株の感染者急増等の影響から労働市場へ復帰を遅らせる動きがあるのかもしれない。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics

失業理由の分類は下記を参照。

  • 被解雇者(Job Losers) : 会社都合の一時解雇、解雇
  • 退職(Job Leavers) : 自己都合の退職者
  • 契約期間満了(Completed Temporary Job) : 一時的な/臨時の仕事を終えた場合
  • 労働市場への復帰者(Reentrants) : 再度職探しを始めた人(not-in-labor-forceからの復帰)
  • 新規参加者(New Entrants) : 新たに職探しを始めた人

週給・時給とその他関連データ

平均時給は前年比で上昇ペースが加速したものの、週給の伸びは鈍化がみられた。

これは週平均労働時間が大幅に減少したことを反映したものと思われる。

Data Source: U.S. Bureau of Labor Statistics

Data Source: U.S. Bureau of Labor Statistics

労働市場の逼迫状況が続いていることから、インフレ圧力は今後も高まると思われ、それは一般家計の実質賃金は減少傾向にありることが米国GDPの7割ほどを構成する消費を停滞させたり、強まる物価上昇圧力がFRBの金融正常化を加速させることから、リスクアセットの重しになるなど、いいことばかりではないため、警戒が必要だろう。

12月までの実質時給・週給の前年比水位は以下の通り。

Data Source : U.S. Bureau of Labor Statistics